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ズレを直すよりも新しいコンセプトを

2010.02.01

飛ぶ鳥を落とす勢いで産業の主人公に躍り出た感のある「エコ」。

昨年末の日経新聞に、家電製品を購入するときには販売価格よりもエコを重視するという調査結果が掲載されていたように、エコは売れるというイメージが定着してきた感があります。

それまで商品やサービスの訴求の中核は「機能」「価格」という機能的価値、「デザイン」「ブランド」という情緒的価値という「四天王」が君臨していたわけですが、エコがこの四天王たちに割り込んで、いつの間にか5天王値時代を築き上げてしまったように見えます。

しかし、このエコという価値は機能的価値と情緒的価値のいったいどちらなんでしょうか?

エコとは「エコロジー(ECOLOGY)」の略です。みなさんも映像などでご覧になったことがあるかもしれませんが、ハリウッドのセレブたちがハイブリッドカーなどのいわゆるエコ商品を好んで使っているように、欧米でのエコの価値は「エコなライフスタイル」がイケている、エコであることがステータスとなるように、いわばブランドと同じような情緒的価値として位置付けられています。

では日本ではどうだろうか?昨年末からインタビューや座談会などのフィールドワークを重ねてきたわかったのですが、日本におけるエコとは「エコノミー(ECONOMY)」の略であるということです。エコノミー=経済的ということ、つまりエコはサイフに優しい、節約になるという、まさに価格と同じ「機能的価値」になってしまっているのです。

家電製品でエコが求められるのは、地球環境にやさしいとか温暖化防止に貢献できるなどの「環境への貢献」や「社会責任」ではなく、ランニングコストが安いとか節約になるという「家計への貢献」という意味合いが大きいわけです。

エコが四天王に割ってはいるほど存在感を増している背景は「環境配慮」が重視されるようになったというわけではなく、単に「節約」が重視される風潮が強くなったのだと考えられます。

日本におけるエコは、「価格」という機能的価値の兄弟分であり、エコ本来のエコロジー(環境)に対する意識が高まっているというわけではないようです。

今や成長産業の代名詞と言えるエコビジネスですが、こうした消費者の意識をベースにして見てみると結局、価格競争やスペック競争と同じように機能的価値の競争をしているに過ぎないのではないかと感じてしまいます。

やはり、エコビジネスが本当の意味で成長産業となるためには、利用者(消費者)がエコノミーではなく、エコロジーという情緒的価値に対価を見いだすようにならないと難しいのではないかと感じています。

そうでないとエコが日本の文化として根付かないような気がするわけです。

しかし、だからといって「みんな環境に優しくなりましょう」と叫んでみても、消費者に「何いってんだコイツ?」とバカにされて終わりです。

価値が本来の意味とズレているからと言って、本来の価値基準に戻しましょうといったところであまり意味はありません。消費者にとって何のメリットもありませんし。

だからこういったときは、争点をずらしてしまったほうがいいではないでしょうか。

「エコの本当の価値は環境貢献にあるんですよ」なんて価値のズレを争点にするのではなく、たとえば「エコってじつはカッコイイよね」といってものすごいクールなエコグッズをつくってしまうように、まったく新しい争点をつくってしまう。

つまり「コンセプト」を変える、新しいコンセプトを打ち出すわけです。

従来のコンセプト(エコはサイフに優しい)を否定して、エコの本分は環境配慮なんです!と言い続ける作業は生産性が低く、消費者のメリットも少ないため共感を引き出すことが難しい。

だとしたら、エコに新たな情緒的な価値(カッコイイとか可愛いとか)を持たせ、新しいコンセプトを流通させる発想のほうが「エコの情緒的価値」を確立できる気がします。

そうしないと価格競争と同じように、エコが節約競争で疲弊してしまうような気がして仕方が無いのです。

やっぱり、エコが情緒的な価値として定着したほうがエコビジネスが活性化するような気がしてならないわけです。あくまで私見ですが、でも座談会などでエコに関する意識を調査する度に危機感を覚えています。

このままじゃ、エコのデフレ(価値下落)が起きそうな気がして仕方がない。

価値が暴落してから、「オレは最初から反対だった」なんて言ったところで意味はありません。だったらエコに新しいコンセプト(新しい意味)を持たせてやったほうがいいと思うのです。

問題提起だけでは、言うだけ番長になってしまうので、アクションを起こさなければ意味がありませんね。

投稿者 : 濱川 智 | 投稿日時 : 2010.02.01 18:33

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