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Freeは本当に儲かるのか

2010.06.18

Freeビジネスがブームです。

クリス・アンダーソンのフリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略が大売れしたのは記憶に新しいですが、ボクが所属しているドリームゲートでもFreeビジネス研究会が発足して、さまざまなFreeビジネスを観察して「Freeで儲ける仕組み」を探そうとしています。

しかし、本当にFreeビジネスは中小・零細企業でも成立するのでしょうか。

それとも、GoogleやAmazonなどの圧倒的な技術力や顧客を保有している大企業でなければ成立しないのでしょうか。

優れた技術力やアイデアがあれば、資本の大小などは問題ではないかもしれません。実際に小さなベンチャーがFreeビジネスで一気にブレークすることも少なくないし。とくにネットサービス系はアメリカの小さなベンチャーが元気ですね。

ただ、一方で技術やアイデアが優れいてるだけでFreeビジネスを成立させることは難しいと言わざるを得ません。

基本サービスを無料で提供し、高機能なプレミアムサービスだけ有料にするフリーミアムというビジネスモデルがあります。この場合、圧倒的多数の無料ユーザをほんのわずかなプレミアム客が支えている(システム利用費などのコストを)構造です。

 

free.gif

大切なことはどうやってプレミアム客を増やすか?だと思い込みがちですが、現実的には、どうすればこの大量の無料ユーザを集めるのか?という問題があります。

無料ユーザのごく一部がロイヤルカスタマーに成長してプレミアム客になる、この構造で大切なのは、三角形の底辺サイズです。いかに、分母を大きくするのかが求められるわけです。

サービスも商品もただ誕生させるだけではユーザ(顧客)は生まれません。当然、誕生したばかりのサービスを知っていただく必要があります。これは通常、広告宣伝活動によって行われるので当然コストが発生します。

無料のサービスを知ってもらうためにお金が必要になってくるわけです。

クチコミだけで爆発的にヒットするようなユニークで便利なサービスならいざ知らず、通常「広く告げる」ためには相応の費用が必要ですから、儲ける前にけっこうな「前払い」が発生するのです。



また、忘れてはいけないことですが、無料だからといってユーザ・顧客が喜んで使ってくれる、というわけでもありません。


先日、ウチの会社が始めた携帯を使った無料名刺・無料ホムペサービスの宣伝活動の一環で、早稲田大学前で販促用クリアファイルを街頭配布したときのことです。
事前の配布会社との打ち合わせで

「学生は普段クリアファイルをお金を出して購入している」
「だからクリアファイルを無料でくれるなら喜んでもらうはず」

という会話をしていました。まあ、クリアファイルなら学校で普通に使うことができますから、ゴミになるようなフリーペーパーよりきっと受け取り率は高いだろう、という読みです。


しかし……このクリアファイルを学生はまったく受け取らないんです。

そんなモノ無料でも要らない」っていう声が聞こえてくるようでした。


結局、二名体制で5時間くらいかけても、わずか500枚程度しか配布できなかったのです。


何が言いたいのかというと


「無料にすることで大量のユーザに使ってもらう」ことを前提にしているケースが多く、無料にしてもなお使ってもらないかもしれない、ということを想像しない人が多いということです。

「Free=無料」というのはあくまでも付加価値や+アルファであって、本質的な価値=基本価値ではないということを肝に銘じなければなりません。

世の中の消費者・ユーザにとって「有料でも使いたい」サービスよりも「無料でも使いたくない」サービスのほうが圧倒的に多いことを忘れないことです。ユーザは目利きであり、厳しい断罪者でもあるのです。


きっと今後は、Freeビジネスに慣れた消費者が、お金を出してでも使いたい「特別なサービス」と無料で十分使える「相応のサービス」を目利きして使い分けることでしょう。


そのような時代に「いかにも無料らしい」サービスや「それなり」の商品だけでFreeビジネスを仕掛けても見向きもされないでしょう。無料という付加価値があるとしても、「相応」の基本価値が無ければクリアファイル同様に見向きもされず、広告費用だけが虚しく垂れ流されてゆくことになるかもしれないのです。

ただ、一方でFreeは「価格面」における最強の戦略でもあります。無料と100円の間には500円と600円の違いとは比較にならない価格差以上の圧倒的なギャップがあるのです。


最強の戦略=価格優位性を活かすための、商品戦略や流通戦略で基本価値を高めれば、プロモーションもやりやすいはずですし、ユーザにとって魅力のあるサービスにしやすいことは事実です。


まずは「無料」だから大量に広められる、ユーザを獲得できるという思い込みを捨てることです。

無料になればそれだけ使い捨てにされるリスクも高くなります。サービス・商品そのものの基本価値を活かすためのFree戦略を考えなければ、結局、Freeって儲からないよね、という話で終わってしまうでしょう。

「お金払ってでも使いたいサービスが、なんと無料だなんて!」
ユーザの頭にこんな「!」が浮かぶようなサービス設計が必要になるのです。


そうなると売る予定の商品単体で考えるのではなく、「相応」の商品を無料で提供して保守などのアフターサービス(別商品)で回収する、といった発想が必要になってきます。「無料相応」の商品・サービスをそのまま無料で提供したところでユーザは何も嬉しくありません。

どうやってサプライズを生み出すか?それがFreeビジネスの肝心なところかもしれませんね。


■Freeサービスの一例■


無料で使えるビジュアル系ホムペ・デジタル名刺|ピッとリンク
┗約300種類のクールデザインが使い放題の携帯サービス

ベビー用品・キッズ用品専門のショッピングモール|プレスタ
┗無料で出店・出品できるECモール。代金回収も事務局が代行

ビジネスの本質をつかむためには、自分でやってみるのが一番。という単純な理由でFreeビジネスに取り組みはじめました。プロモーションもできるだけFreeっぽくということで無料サンプリングなどを展開してきました。その実感としてこの記事のような感想を抱いています。

やっぱり、ビジネスは奥が深いですね。無料だからといって利用者が続々……というわけじゃない。

「無料なら使う」ではなく「無料でも要らない」が前提
だと思わないと大やけどしますのでご注意を。

投稿者 : 濱川 智 | 投稿日時 : 2010.06.18 17:34

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