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成果物に「他己満足」を帯びさせる

2008.05.29

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先日、PHSをHONEY BEE(以下HB)という機種に変更したことを書きましたが、3日ほど使ってみていろいろと気づいたことがあるのでご紹介。

まず、初期設定が若者向けだなぁ、という点。3つあります。

携帯電話でもPHSでも、新しい機種を手に入れてからすぐにやることの1つに、「ボタン確認音のオフ」があります。ボタンを押すたびに「ピッ」「ピッ」と音が鳴るという、KYな設定をまずは抑え込むわけです。それがHBは最初からボタン確認音はオフでした。これが1つめ。

2つめは、メール表示時の文字の大きさが最初から「小」になっていたこと。通常であれば「標準」サイズで、これを「小」に変える必要があるのです。「こんなデカい文字で読まねーし!」という若者の声を見越しているかのようです。

3つめは、最初から登録されている着メロがかなり少ないこと。もっといえば、まともなものが少ないこと。これは大いに主観の入るところではありますが、明らかに「これはないだろう…」というものが多く──しかし、僕自身は携帯は常にバイブ派なので実はどうでもよかったりしますが──世間一般の若者(とひとくくりにするのはアレですが)にとっては、着メロというものはお気に入りのものをダウンロードしてきて使うものであるからして、「プリインストール・メロディ」(略してプリメロ)には力を入れなくてもよかろう、という割り切りが窺われます(想像)。

こうして見ると、HBは想定しているターゲットユーザーのことをよく研究したうえで、その成果を製品にきちんと反映しているように見受けられます(僕自身が「若者」の範疇に入るかどうかはさておき…)。


実際、以下のインタビュー記事には、その裏付けとなるような記述もあります。

開発陣に聞く「HONEY BEE」と「WX330K」:元気な“ミツバチ”と大人な“5代目京ぽん”――HONEY BEEとWX330Kに見る京セラの新デザイン戦略(前編) - ITmedia +D モバイル

メインターゲット層でもある美術大学の学生からの意見を参考にしたという。最も頻繁な時には週に1回程度ミーティングを開き、若年層の使い方を想定した形状やほしいカラーについて意見交換を行った。派手なカラーリングも、潜在的なユーザーが望んだ色といえるだろう。

また、同時期に発表された同メーカーの別機種に関するコメントですが、ここでも調査の足跡が垣間見られます。

開発陣に聞く「HONEY BEE」と「WX330K」:元気な“ミツバチ”と大人な“5代目京ぽん”――「HONEY BEE」「WX330K」に見る京セラの新デザイン戦略(後編) - ITmedia +D モバイル

「1台目にウィルコムを選ぶのがどんな人か? をよく考えました。おそらく、経済概念がしっかりしていて、携帯電話と価格などを比較して選んでいるのではないでしょうか。こういったユーザーは男女どちらにも一定の割合でいると思います。『これじゃなきゃダメだ』でもないし『これでいいや』でもない。『これがちょうどいい』というポジションの製品を選ぶ層に受け入れられる。上質で、飾りすぎない存在感のあるデザインを求めました」


一言でいえば、自社の商品を使ってくれるユーザーの視点に立って開発しましたよ、という当たり前といえば当たり前の姿勢なのですが、実際にこの姿勢を貫くのは容易ではないでしょう。

出荷時はボタン確認音はオンであるものであり、文字サイズは標準であるものである、という前例踏襲的常識の壁は厚いのです。


個人の仕事においても、「この方がお客さんにとっては嬉しいだろう」という思いがあったとしても、そのアイデアが「先輩とは違うやり方になってしまう」という懸念をはらむものであれば、そこで踏みとどまってしまうかもしれません。

仕事は、出した成果物によって判断されるのであり、成果物が作られる過程は先方にとってはブラックボックスです。もちろん、だからといって手を抜いて良いということではなく、やり方はどうあれ成果物に「他己満足」を帯びさせることができるかどうかが問われる、ということです。

人は放っておくと手間や時間のかからない方法に流れがちです。知らず知らずのうちに「自己満足」の“渦”にのまれてしまうのです。ここから抜け出すためには、「本当にこれでお客さんは喜んでくれるのか?」という問いかけをたえず自分に差し向けるほかないでしょう。

仕事の効率を上げることは常に求められるところではありますが、効率を上げることによって成果物の価値が損なわれるのであれば本末転倒。ダイエットをしすぎて身体を壊すようなものです。そうならないためにも、馬力を下げずにシェイプアップしていきたいですね。


HBについて他にも気づいたことはありますが、長くなりましたので改めて。

投稿者 : 大橋 悦夫 | 投稿日時 : 2008.05.29 14:17

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