「彼(女)に何ら悪気はない」
2010.02.11
例えば、「週明けまでに」という期限を切って部下にお願いしていた資料作成の仕事。
週が明けてもいっこうに届く気配がないので思い切って尋ねてみる。
「先週お願いした資料の件だけど、どうなってる?」
「す、すいません、まだできてないんです…」
「おいおい、何でもっと早く言わないんだよ! お前は新入社員かっ!!」
「申し訳ありません…」
あなたが部下を持つ立場にあれば、あの「はらわたの煮えくりかえる感覚」を想像していただけるのではないでしょうか。あるいは、実際にこうした感情的な言葉を部下に浴びせかけてしまったことを思い出しているかもしれません。
このような時、怒りをぐっとこらえて、
- 自分の指示の出し方があいまいだったかもしれない
- 相手のスケジュールやスキルについての考慮が足りなかったかもしれない
- 相手に何かのっぴきならない事情があったのかもしれない
といった自省に基づく自制が働けば、その後の人間関係はより円滑に運ぶでしょう。
もちろん、言うは易く行うは難しなわけですが、そんなときに思い出したいのが、つい最近参加したとある会合で耳にした以下の言葉。
assumed innocence
本来の意味は「とぼける」「知らないふりをする」(の名詞形)といったところですが、今回のコンテクストにおいては、自分の利益や立場をすべて透明化し、そのようにして初めて透けて見えてくる相手の置かれた状況や欲求に目を向けるためのおまじない、ととらえることができます。
つまり、道化。
怒りがこみ上げてきたら、すかさず「assumed innocence」という“呪文”を唱えます。
英語でわかりにくいというのなら、代わりに「彼(女)に何ら悪気はない」と唱えてもいいでしょう。
いずれにしても、怒りの感情に支配されることで曇って見えなくなってしまう相手の「素」の部分に努めて目を向けるようにするのです。
そこから先は、あなたの心のランクの問題になりますが、人並みに思いやる心さえあれば、それは相手に伝播し、その言動に少なからず影響を与えるはずです。
そもそも怒りとは、相手の非に向けて撃ち込まれるミサイルのようなもの。
“非”のないところに煙は立たず、のはずが、自らの想いが遂げられない時、そこに非の“捏造”が行われます。実在しない「大量破壊兵器」を相手の中に現出させ、そこにめがけて宣戦布告をしてしまうのです。
最終的には“国際会議”で恥ずかしい想いをします。
力任せに意を通そうとする北風になるか、
猜疑心を溶かす太陽になるか。
迷わず呪文を唱えましょう。
ちなみにこの言葉を教えてくれた方は、某ファーストフードチェーンで店長を歴任し、店を移るたびにスタッフたちから写真つきの手書きレターを贈られたという伝説を持つ人物。
そんな彼が、店舗の運営に際して日々心がけていた3つの心得の1つが今回ご紹介した「assumed innocence」でした。
残る2つについてはまた改めて。
代わりに、彼の名刺の裏に刷られていた言葉をご紹介。
When you are GREEN,(未熟でいるうちは成長できる。成熟した途端、腐敗が始まる)
You are Growing.
When you are RIPE,
Your are ROT.
件のファーストフードチェーン創始者の言葉だそうです。
投稿者 : 大橋 悦夫 | 投稿日時 : 2010.02.11 18:45
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