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ギリギリのストレス

2006.05.31

例えば、ジムでバーベルを上げ下げする時、余裕で持ちあげられる重さではあまりトレーニング効果はありません。かと言って自分の限界を超えるウェイトにすると、筋肉に対して回復できないダメージを与えかねないため本末転倒です。

最近読み始めた『メンタル・タフネス』という本では、このような肉体的な負荷のコントロールの知見をメンタル面にも応用することで、やる気を維持したり、盛り上げたりするためのコツが紹介されています。

本書では、余裕のある状態をアンダートレーニング、自分の限界を超える負荷をオーバートレーニングとそれぞれ呼び、いずれも目的を果たし得ないトレーニングであるとしています。

さらに、メンテナンストレーニング(維持を目的とする)とタフネストレーニング(新しいレベルへの順応を目的とする)という2つの種類を合わせた、4種類のトレーニングを示しながら、我々がいかにストレスと向き合っていくかを解説する内容となっています。

 1.オーバートレーニング(過剰)
 2.タフネストレーニング(順応性)
 3.メンテナンストレーニング(維持)
 4.アンダートレーニング(不足)

言うまでもなく、肉体へのプレッシャーと精神へのプレッシャーは、そのメカニズムに共通点が見られるという前提が本書の主張の出発点になっています。私自身、この本を読む以前から、この共通点を何となく感じていたので、読み進めながら非常にしっくり来ています。

例えば、良いアイデアが浮かぶ時というのを振り返ってみると、それは非常にゆったりとした環境で余裕を持って仕事をしている時ではなく、そこそこの窮地に立たされながらも、がんばれば何とか乗り越えられそうな程度のプレッシャーにさらされている時だということに気づきます。

つまり、良いアイデアが浮かぶ時というのは、自分をタフネストレーニングの状態に置いている時が多いと感じられるのです。筋力トレーニングの効果が最大化されるのもタフネストレーニング、すなわち「ちょっとがんばれば何とかなりそうな程度の負荷」を自分に与えている時です。

そう考えると、オーバートレーニングにならない程度に自分を追い込むことは仕事力をアップさせる上では欠かせないものと言えるでしょう。

そうなるとあとは、負荷をいかにうまくコントロールするかがカギになります。その指標になるのが「もうちょっとできそうだな」とか「これ以上は無理だな」といった経験に基づく手応えです。

この手応えというのは数値化や形式知化とは相容れない、一人一人が身体を通して知覚するものですから、自分の感覚を信じて判断することになります。

バーベルのシャフトを握って少し力を入れたとき、まったくビクともしなければ、それは危険な重さと言えるでしょう。いくらインストラクターが「これくらいなら持ちあげられるでしょう」と言ってきても、最後は自分の感覚に頼るほかありません。

仕事の負荷を「タフネス」のレベルに維持することができれば、その仕事から継続的に充実感ややりがいという果実を得ることができるでしょう。

自分を甘やかしすぎず、かと言ってストイックに追い込みすぎないようにすることは、アスリートだけでなくビジネスパーソンにも当てはまる心がけと言えそうです。

投稿者 : 大橋 悦夫 | 投稿日時 : 2006.05.31 04:42

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