「がんばる」と「感謝する」の時差
2006.08.02
前回、「がんばる」の反対という話を書きましたが、最後に以下のような問いかけをしたところ何人かの方に答えをお寄せいただきました。
ここで、先の、「がんばる」←→「感謝する」
という対立項を考えるとき、並列して
“????”←→“thank”
という英語版が思い浮かびます。英語には「がんばる」に当たる言葉はあるのでしょうか?
・Mさんより(メールで)
真っ先にtryが思いつきました! 頑張るって、やりきれるかわからない・・・と含みを持たせる時にも良く使いますよね〜。
・D.I.さんより(ブログで)
一番近いニューアンスでは「I'll do my best.」とか、「I can do it.」ではないかな。
ありがとうございます。
お二人にいただいた言葉を拝見して気づくことは、いずれも「未来」「未知」「未定」「未決」なことに対して、前向きに取り組む意思表示であることです。
そして、
・やってみる(try)
・最善を尽くす(I'll do my best.)
・きっとできるさ(I can do it.)
という一連の言動は、たいていは一人で行うものでしょう。もちろん、人と協力し合って“がんばる”こともありますが、一人一人の努力があってこそでしょう。
逆に「感謝する」という言葉を考えると、これは「過去」に向いていることが分かります。文法的には、「I will thank you.」という文は成立するとは思いますが、実際には使わないでしょう。感謝するのは今この瞬間か今より前の時点の何かを対象にしているはずです。
整理すると、
未来への自分の意思表示:がんばる、やってみる
過去の誰かの行為に感謝:ありがとう
という“時差”が見えてきます。そして人はこの時差を行き来しています。見えない未来に一人で立ち向かうことができるのも、今の自分がいるのも、過去に自分に関わってくれた誰かのおかげという未来と過去が併存する状況があるわけです。
そういえば「温故知新」という言葉がありますが、まさにこのたった4文字の言葉が今回書いてきたような内容をコンパクトに言い表しているなぁ、と思い至りました。
常に、何か新しいことを書こうと思ってブログを書いているのですが、書こうと“try”していた内容が「温故知新」という2500年前の言葉ですでに言われていたことに気づき、愕然とします。考えてくれた人にお礼を言うには“時差”がありすぎるのですが、これもまた温故知新ですよね。
投稿者 : 大橋 悦夫 | 投稿日時 : 2006.08.02 09:49





