停滞に喝を入れる「シャッフル再生」
2008.01.23
かなりかなりかなり昔の記事(2004年4月ですから4年近く前!)ですが、たまたま改めて目にする機会があり、読み返してみて「おお」と思ったところがあったので取り上げてみます。
アルバムを最初から最後まで通して再生するといった、古臭くて堅苦しい聴き方をやめて、再生する曲を音楽プレーヤーに無作為に決めさせることが人気を集めている。そうすることで、思いがけない取り合わせの曲が前後して再生され、それが往々にして面白い効果を生むのだという。「プレーヤーをシャッフルの設定にして、次にどの曲をかけるかを任せてしまうのは、ちょっとスリリングだ。この小さな機械は、しばしばジャンルの壁を打ち破るので、私は音楽の聴き方を改めさせられた」と、ロス氏は記事の中で書いている。
ランダムなシャッフル再生というのは、決して目新しい機能ではない。もともとはCDプレーヤーの機能として普及したものだ。だが、CD時代には、曲をシャッフルするといっても、普通は1枚のアルバムの中だけに限られていた。
ランダムな選曲は、何万曲にもおよぶ楽曲ライブラリーという膨大な音楽コレクションを伴ったとき、その真価を発揮する。このような大規模なコレクションでは、放っておいたら一度も再生されない曲を聴かせてくれる優れた方法――場合によっては唯一の方法――だろう。
要するに、
●選択における主体性を放棄せよ
そうすることによって、
●意識と無意識がリバーシブルであることに気づくだろう
というわけです(かなり意訳と飛躍がありますが…)。
さらに読み進めてみます。
ユーザーはしばしば特定の活動(ウォーキング、ドライブ、通勤、トレーニングなど)向けのプレイリストを作るが、それとは別に、主導権を機械に譲ることも楽しんでおり、そうして思いがけない曲が選ばれることに驚きや喜びを感じているのだ、とブル博士は語る。iPodは時々、ユーザーが夢にも思わなかったような組み合わせの曲を前後して再生することがあるのだという。たとえば、ブル博士の調査協力者の1人は、iPodが周囲の風景に「色をつけ」、ランダムなシャッフル再生が見慣れた場所の感じを劇的に変えることもあると回答している。
ブル博士の報告によると、この回答者は次のように語っている。「シャッフル再生をオンにしていると、次にどの曲がかかるか分からない。活気にあふれ色彩に満ちている街が、別の曲が始まったとたん、謎めいた落ち着かない場所に変わってしまうこともあり、驚かされることが多い。でも、その感覚が好きなんだ」
ブル博士によると、曲のランダム再生機能によって、ユーザーは自分だけの物語を紡ぐことができるという。ちょうど、自分を主人公とする映画のサントラのようなものなのだ。また、シャッフル機能によって、予想だにしなかった思い出を作ることもできる。
「予想だにしなかった思い出」とは言い得て妙です。記憶は場所に関連づけられることが多いので、ある場所を歩いているときに耳にした音楽は、その場所を想起するキーになるもの。家に帰った後も、その曲を聴くだけで場所の記憶が甦ったりします。
「今はどんな曲がふさわしいのだろう?」と人が思う前にiPodが音楽を提案してくれます。たとえそれが場違いなものだったとしても、聴いているうちにそぐわないこともないかも知れない、と思えてくることが少なくありません。
何かに行き詰まっているとき、考えてもわからないときというのは、無意識のうちに考える材料や選択肢を自分で制限してしまっているからだと思います。
常識や前例に捕らわれがちな我々には、それゆえ、iPodのような“無作為な刺激”は効果的なのかも知れません。人間関係に置き換えれば、それは常にいろいろな分野の人と分け隔てなくつき合え、ということになるでしょうか。
<関連>
・記憶ハック
投稿者 : 大橋 悦夫 | 投稿日時 : 2008.01.23 07:13


