今週のまとめ:放っておいても動き続けている
2010.02.21
今週書いたエントリー。
振り返ってみると、今週のキーワードは「動き続ける」であることがわかります。答えが一カ所にとどまった的なら、テーマは動き続ける獲物にたとえられます。
誰が見ても正しい「答え」を探求しようとするのをぐっとこらえて、自分にとって楽しい「テーマ」を追求するというスタンスです。
このスタンスに一番近い言葉は「動的平衡」。『爆笑問題のニッポンの教養 生物が生物である理由 分子生物学』という本でわかりやすく説明されています。
まずは定義。
分子は固有の形を持ち、その分子が同時多発的に各所で入れ替わっているが、生命としての同一性=平衡は保たれている、そうした状態を動的平衡という。(p.51)
続いて、いくつかの切り口から描写あるいは解説。
だから、地球全体の元素の量っていうのは、実はほぼ一定で、それがグルグル回って、ある時には太田さん、ある時には田中さん、ある時にはミミズ。(p.58)
今、私たちは何か固体だと思っているけど、むしろそういう長い時間を取ってみると、ガスなんです。ゆっくり緩やかに分子が集まっている状態で、分子を混ぜただけでは生命はできなくて、この要素がある一瞬入れ替わりながらも、ある一瞬を形作っている効果が生命っていうことなんです。(p.60)
それはね、実は私たちはずっと昔から気づいていたことでもあるわけです。生命というのは絶え間なく流れるものだと。『方丈記』にだって書いてあるわけですよね。でもそれをミクロな言葉で、分子の言葉で語ったからシェーンハイマーはそのスタイルで受け入れられたわけです。(p.102)
私たちの体の分子は常に振動しながら流れているので、それ故に私たちは外部に文明を作ったり、約束を作ったり、法律を作ったりして、何とか自己同一性っていうものを付託する、記憶させるものを作ってきたわけですよね。そういうふうに考えると、むなしくもあり、でも面白くもあるわけです。(p.126)
こうしてブログを書いているのも、流れ続けている自分を把握するため、という側面もあるでしょう。
流れ続けているとなると「記録なんてしなくても、大事なことは思い出せるはず、忘れるのは大事じゃなかったということだ」と開き直るスタンスがいかに危ういかがよくわかります(一概に言い切れませんが…)。
分かっているつもりが実はぜんぜん…ということが起こるのはまさに「一瞬」を記録に残さなかったから、と説明できそうです。
本書は全編、福岡伸一さんの“講義”に対して、爆笑問題の田中さんと太田さんが相槌を打ったり、話を広げたり、飛躍させたりしているわけですが、特に太田さんが時折見せる鋭い指摘や妙に説得力のある本質を突いた自説には唸らされます。
同じ福岡さんによる『生物と無生物のあいだ』よりも掛け合いがある分だけ躍動感があり、入り込みやすく感じました。
投稿者 : 大橋 悦夫 | 投稿日時 : 2010.02.21 23:52







