経験が浅いという強み
2006.07.20
先日参加したとあるミーティングでの話。
メンバーは全員男性で、31歳、31歳、31歳、32歳、22歳という5名。
内容は新サービスを立ち上げようとしているA社に対するB社による提案。
私はB社の社外スタッフとして参画しているのですが、突出して若い22歳の方は現在大学生でB社のインターンとして毎回このミーティングに同席しています。仮にY君としておきます。
今回のミーティングの主題は、新サービスの形態をどうするかという議論だったのですが、具体的なカタチについてのかなり詳細な案出しまでこぎ着けたものの、想定されるリスクがどうしても回避できず、暗礁に乗り上げかけていました。
その時、ずっとノートPCに向かって議事録を叩きながら議論の行方を見守っていたインターンのY君が、
「はい!」
と元気な声で手を挙げました。
「1つアイデアがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「おー、もちろんもちろん!」
「あのー、今議論になっているリスクというのは○○が××という前提があるからですよね? であれば、○○に△△するようにすれば、回避できたりするんじゃないでしょうか…」
この瞬間、その場の30代男性陣は全員言葉を失いました。数秒後、
「おーーーー! なるほど! 確かにそれならいける!」
と一同、目からウロコ。
こうしてY君のおかげで座礁しかけていた議論が再び前に進み始め、その日のミーティングを無事終えることができたのでした。
30代ともなると、社会人経験も10年におよび、一通りのビジネスセオリーやしきたりが身につき、すべてを一から考えなくても、過去のストックを活用したりリメイクすることによって、短時間でそれなりのアウトプットを出せるようになっているものです。
「リメイク」というと楽をしているようなイメージがありますが、特にリメイクしようという意識がなくても、自然と過去の前例を参照しながら、現在の課題に取り組むというスタイルが染みついているわけです。
だからこそ、単純な繰り返し作業から解放されて、アイデアを生み出したり、直感を働かせたり、見通しを予測したり、といったより高度で複雑な知的作業にパワーを投入することができるのですが、反面、今回のように「こういう場合はこうなるからダメ」「かと言ってこっちにしたら逆にあっちがダメになる」というビジネスにおける“公式”や“定理”の制約に縛られて、手詰まりになってしまうことがままあります。
そんな中で、インターンのY君が“ビンゴ!”なアイデアを出すことができたのは、“公式”や“定理”から自由であり、状況をあるがままに観察し、そこから感じたことをそのまま意見として出したからだと考えられます。言うなれば経験が少ないという強みを発揮したわけです。
知識が増えれば増えるほど「こんなアイデアじゃダメだ」「あらゆる角度から眺めてみて完璧を期さないと」というアウトプットの敷居が高くなります。
・社会人として10年も経験を積んでいるのだから、それなりの意見を出さないといけない
・浅はかなアイデアを出して「こいつ何も考えてないな」と思われたくない
というように自分で自分にかけるプレッシャーがおのずと強くなるわけです。
でも、それは自分が勝手に思い込んでいるだけで、参加しているメンバーはそこまでのことは要求していないかも知れない、あるいは同じような思い込みに囚われていて、結果として牽制し合ってしまい、膠着状態に陥ってしまうのではないかと考えられます。
新鮮な魚を新鮮なままで運ぶには、1つのケースの中に1匹だけ別の魚を入れておくと良いと言われています。魚たちは1匹でも自分たちとは別の種がいると緊張して身を引き締めるため、新鮮さが持続するからだそうです。
今回、もしY君がおらず、30代だけでだらだらと話し合っていたら、結論は先送りになっていたでしょう。年代の違いだけでなく、例えば部署や立場が異なる人に同席してもらうことによって、Y君のような岡目八目的役割を期待できるかも知れません。
投稿者 : 大橋 悦夫 | 投稿日時 : 2006.07.20 08:43
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名前:大木2006年07月21日 09:26
いつも興味深く拝読しております。
面白いですね、このお話。ボブサップが強かった時代に、ある意味で通ずるものがある気がします。知らない強み、とでも言うのでしょうか。Yさんが、「良い経験」を積んでいけると良いですね。






名前:Uisge2006年07月20日 17:37
トラックバックありがとうございます!
それにしても同じ出来事を取り上げるにしても、記事の内容の濃さには雲泥の差がありますね(苦笑。
これからもご指導お願いいたします!