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10年後の評価

2008.05.26

今から10年前に放映されていた、あるテレビドラマを観る機会が最近ありました。そのドラマは当時の自分と同い年の主人公が活躍するもので、同じ原作をもとに繰り返し映画化・ドラマ化されている作品です。

10年たった今でも、原作のできばえと豪華なキャスト陣と(当時としては)クールで洗練された演出とが相まって、たいへん見ごたえのあるものでした。

演出については、例えば米国FOXのドラマ「24」における画面を複数に分割して、電話をしている2人の顔を同時に映し出すといった手法が使われていたり、CGを駆使したと思われる、巨大なビルに威圧感をまとわせるための工夫(巨大なビルが高くそそり立っているさまを強調するために少しずつ手前部分だけがズームアップして迫ってくる映像効果)などがこれにあたります。

どんなものにも流行り廃りはありますが、今回のドラマのように10年たっても観る者を引きつける魅力を保ち続けていることの裏には、一時的なトレンドに惑わされることのない、全体にわたって貫かれる普遍性のある信念の存在が窺われます。

そこで思い出すのが、以下の本に書かれていた「進歩軸」と「トレンド軸」という2つの対比です。


人の世は、現実との妥協をしながら、少しずつ、ゆっくりと、理想に向かって歩んでゆくものだと思います。災害に強く、もちろん戦争などなく、豊かで、毎日を温かく幸せに暮らせる社会。世の中の誰もが願っている社会。こうした理想的な姿に向かってまっすぐに進む線を、私は「進歩軸」と呼んでいます。永遠に変わることのない方向です。

一方「トレンド軸」というのがあります。トレンド軸は、世の中で日々生まれている流行のことです。進歩軸に対して直角に、振り子のように揺れています。世の中の動きはお客さまの傾向ですから、アンテナを磨いてトレンドを敏感に感じとることは、もちろん大切です。しかしこの揺れを、世の中の今後の大きな変化の方向だと思うのは、間違いです。

ということで、著者の塚越寛氏は自社の経営論を展開しているのですが、これに限らず本書を読んでいると、著者の誠実な人柄がにじみ出るような文体も手伝って、読み返すたびに自戒の樹海に迷い込みます(笑)。

その塚越寛氏が率いる伊那食品工業株式会社は「58年の会社設立から48年間連続の増収増員増益を達成。財務内容及び理念と実績、将来性などが総合的に高く評価されて」おり、本文でも「さもありなん」と思わせるのに十分すぎる事例や姿勢がふんだんに盛り込まれています。

いい会社をつくりたい社長はもちろん、自社をいい会社に変えたいリーダーの方にもおすすめの1冊です。

投稿者 : 大橋 悦夫 | 投稿日時 : 2008.05.26 23:59

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