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 『床下の小人たち』

2007.09.03

深層心理学を学んだわけでも、フロイト派というわけでもないですが、河合隼雄さんの著作物は個人的によく読みます。

中で『ファンタジーを読む』(講談社+α文庫)は好きな本です。ここに出てくる「お話」のほとんどは知らないということも、この本の楽しみを増してくれます。

この本に収録されている物語と、それに沿う形での深層心理学の解説は、あるいは専門家が見ても一般の人が見ても、どうかな…と思わないでもないかもしれません。

それでも、収録されている物語自体が秀逸で、しかも河合さんの目の付け所が的確で押しつけがましくないため、深層心理学的文学批評としてはとてもいい本です。この本を読んでいるだけで、気分が良くなってくることもあるほどです。

その第7章に、メアリー・ノートンという人の物語『床下の小人たち』が紹介されています。暗喩と示唆に富んだ、いわゆる「しんみり来る話」です。あるいは英国文学的、という言い方が許されるでしょうか。ハッピーエンドでは決してありませんが、バッドエンドでもありません。

主人公は小人たちの家族です。彼らが「間借り」している人間たちの家から、小事件がいくつかあった挙げ句、「引っ越し」しなければならなくなるという(だけの)話です。

河合隼雄さんは最後に、こうまとめています。
 ところで、小人はどうだろう。それは実のところ、いてもいなくてもあまり変わりはないが、少し厄介なくらいにさえ思われる。しかし、ノートンの作品を読んでいて、小人の絶滅を願う人があるだろうか。誰しもその存続に荷担したくなるのではなかろうか。何も役に立っていないのに、それを失うことは重大な損失と考えざるを得ない。

投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2007.09.03 20:27

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