Sはみなさんが意識を持っていることを好むだろうことも、私は確信している。
2010.03.31
Sはみなさんがゾンビでないことに気づきうるし、おそらく気づくだろう。正直に認めるが、私としては嬉しい限りだ。すでに主張したとおり、Sは(と言っても、じつは私自身について語っているのだが)感覚を経験することを好むし、意識を持っていることも好むと私は思う。しかし、Sはみなさんが意識を持っていることを好むだろうことも、私は確信している。
ニコラス・ハンフリー『赤を見る』より
ゾンビ。
通常はホラー映画に登場する、泥でできたような、妙ちきりんな幽霊のような存在、というイメージが強いと思うが、心理学とか、神経科学とか、神経哲学といった分野では、一種の専門用語として扱われている。
ゾンビには、いわゆる「主観」がない。その他の点では、ふつうの人とまったく変わらない。
ただし、ゾンビに対して「君は主観がないんだね」と言ったら、腹を立てる。正確には、腹を立てるふりをする。その「フリ」があまりにも上手なので、「フリ」だということは誰にもわからない。
もちろんゾンビ自身には、自分が「ふりをしている」という自覚もない。というより、どんな「自覚」もゾンビにはない。
私たちには他人の「主観」がまったくわからないので、じつは自分以外の人間はみな「ゾンビかもしれない」という可能性から逃れられない。
ゾンビは、行動科学的な見方を徹底的に推し進めた先に現れる光景、というふうに考えられるような気もする。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.31 22:15
願わくば、最良の処置をとってもらいたいものです。
2010.03.31
もし私が路上で殴られて倒れ、意識を失い、内臓破裂のために出血しているとしたら、私は、私に対する他人の行動に完全に委ねられることになります。こうした状況では、それに対して社会が決めているやり方に従ってまわりの人々が行動することにまったく異存ありません。願わくば、最良の処置をとってもらいたいものです。
R・D・レイン(ディヴィッド・コーエンのインタビューに答えて )
これはたとえ話なのだが、どういう状況を想定しているかというと、自分が精神障害者だった場合、「どういう扱いを自分の意志に関わりなく執り行われてしまうか」についての話なのである。
レインはこの問題について一般的な精神科医には受け入れがたい指摘をたくさんしたとされる。本人としてはごく常識的なことを述べていたつもりであっても、そう受け止めない人は多かった。
「願わくば、最良の処置をとってもらいたいものです」という言葉にも、たとえ話を述べているとしても、ある種の隠しがたい不信感が感じられる。
もちろん時代が違うのだが、レインは精神障害者が「状況によっては」自分の脳の一部を取り除かれるかどうかを決める権利すら持っていない、と言っている。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.31 12:12
進化というものは往々にしてそういうところがある。
2010.03.29
ここには何か大きな無駄があるようにも思えてしまうし、人間同士がそんな無理な競争をせずにもっと早いところで互いに手をうっていれば、こんな重い脳みそを支えながら一生を過ごしてゆくような不便も起こらなかったのにとも思えてしまう。しかし、進化というものは往々にしてそういうところがある。
『社会化した脳』より
つまりいきすぎた軍拡競争のこと。
なにやらスッキリしないようだが、ふつうに考えると、ルーレットの必勝法とか、確実に儲ける方法というのは、おかしい。 絶対に勝つ方法を知る人だけでゲームをしたら、誰が勝つのかという問題が発生してしまう。
テストのカンニング。あるいはその他何でもいいが、人の顔色をチェックしたり、視線を読んだりするという「必勝法」を最初に編み出した人がいても、 「読まれている」ことに気づいた人は、それを逆利用したりする。
プロ野球では、投手のクセを見ぬくことのできる打者が、その技術を巧みに利用して春先から調子を出すものの、途中からクセを逆利用されたりして、パタッと打てなくなることがあるという。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.29 14:17
「そこが線路である限り
2010.03.29
なにはさておき、みな、重要なことを成し遂げようという高い志を抱いている。しかし、W・ロジャースもいっている。「たとえ危険がないと考えられる線路にいたとしても、ずっとそこにすわっていれば、そこが線路である限りいつかは轢かれてしまうよ」
『グズの人にはわけがある』より
たとえ話の弱点。
こんなに明確な状況であれば、誰もそうそうは、「座って居続ける」ことはしない。
やらなければいけないとわかりきっていることをグズグズと先のばしにすることは、線路に座り続けるほどに、不合理な行動かもしれないが、立ち去るという簡単な行動で、死を逃れられるというほど、明確で巨大な利益が簡単に得られないから、やってしまうのだ。
人は、きわめて長い時間をかけて、迫り来るある種の不都合をまえもって取り除こうとするほど、めったに行動的ではない。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.29 00:56
「正直言って、おれには関係ない」
2010.03.27
私たちは、扉をあけておきたいという不合理な衝動を抱えている。人間はそのようにできている。しかし、だからといって扉を閉じる努力などしない方がいいというわけではない。映画の一場面を思い出してみよう。<風と共に去りぬ>の中で、レット・バトラーが去っていくとき、スカーレット・オハラはレットにしがみついて哀願した。「私はどこへ行けばいいの? なにをすればいいの?」 ずっとスカーレットの振る舞いに耐えてきたレットはもう限界にきていた。「正直言って、おれには関係ない」
『予想どおりに不合理』より
人間関係だけに限らず、あるいは人間関係以上に、「扉を閉じる」ということはなかなか重要だ。というより本書の文脈に沿うなら、閉じられゆく扉を開く努力をあきらめる、という方がいいかもしれない。
きわめて多くの人が、あらゆる扉をあけておきたいという、おそらくは本能のようなものを持っている。 少しでもある可能性を過大評価してしまう。
いつか使うかもしれない
いつか読むかもしれない
いつか役に立つかもしれない
いつかもっと仲良くなれるかもしれない
そういう可能性はゼロではないし、この考え方が実施に役立つこともある。「もったいない」という感覚は、ない方がいいと、言いきれるものではない。
ただし、可能性をゼロにしないためにあらゆることに気を回し続けることは、エネルギーを漏れさせることになる。この場合の「エネルギー」と「漏れ」を客観的に明示することは難しいが、止めることができればもっと特定のことに集中できるということだ。
そうしたほうがたいていは大きな結果を残せるし、人目をよくひくこともできる。「すごいことを成し遂げているとても自分には叶わない人」はたいがい、 ものすごく有能でエネルギッシュであると言うよりも、エネルギーの漏れにかなり注意していることが多い。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.27 13:02
私に言わせれば「人を読む」時に必要なものは科学でもないし生まれつきの才能でもなく
2010.03.26
私のように「人を読む」ことで生計を立てている人の中には科学的研究や世論調査、統計的分析のみに頼る人もいれば、天部の際を使うという人もいる。だが、私に言わせれば「人を読む」時に必要なものは科学でもないし生まれつきの才能でもなく、経験である。
『この人はなぜ自分の話ばかりするのか』(ヴィレッジブックス)より
この本の著者は、ふつうの意味での「職人」ではない。ほとんど強迫症者のように、「人を読む」ことに取り憑かれている。
だから「人の心を自分も読めるようになりたい」という素朴な願望をもって読むには、大変読みにくい本である。
著者は、ほとんどあらゆる行動やしぐさや表情やイントネーションや指の動きや服装などを観察している。それも、必要とあればどんな人のことでもぶっ通しで何時間も、観察し続けていられそうだ。
当たり前の人には、とてもそんなことはできない。好きな異性のことならできるかもしれないが、どんな人のことでもそこまで興味を持って、観察通しでいられるというのは、尋常ではない。
著者は、心理学や社会学、統計学や犯罪学で、「人を読める」ようになったわけではないと言うが、まったく正直なところだろう。
| この人はなぜ自分の話ばかりするのか―こっそり他人の正体を読む法則 (ヴィレッジブックス) | |
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.26 11:27
この領域ではもはや何ひとつとして自明とみなしてはいけないと考えるようになった。
2010.03.25
一九六〇年代のケンブリッジで、私はある実験に参加することになったが、その実験は私に衝撃を与え、この領域ではもはや何ひとつとして自明とみなしてはいけないと考えるようになった。
ニコラス・ハンフリー『内なる目』(意識の進化論)より
著者に衝撃を与えた実験というのは、ちょっと残酷な実験で、ヘレンと名付けられた「視覚野を人為的に除去された」雌ザルの行動観察だ。
衝撃を与えたのはその実験の残酷さではなく、 非常に長い時間がかかったものの、ヘレンは最終的には、障害物をよけ、床のチョコレートを拾い上げることができるようになったからである。
しかしヘレンには、視覚野がない。つまりものが見えないだけでなくて、そもそもものを見るという知覚も感覚も意識も経験も持たない。しかしはたから見る限りでは、「まるでものを見ているかのように行動する」ことができる。
知らない者には、彼女はまったく正常に見えたことだろう。しかし私には、彼女が正常でないことははっきりしていた。
この実験と観察で言わんとしていることのひとつは、つまりデカルトの「自動人形」のことである。
人間に関しても、これとよく似た事例がいくつか報告されている。いわゆる「盲視」の話である。私はそのような人をまだ見たことがないけれど、 『脳のなかの幽霊』にそうした事例はたくさん載っている。
この問題はしかも、反対側からも頻繁に提起されている。「見ているという自覚なしに何かをよく見ているかのように行動できる」というのがヘレンの事例だったが、 私たちは、「生きているわけでないモノに勝手に「生命」を見いだしてしまう」ことがよくある。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.25 10:43
クーポンはあまり使われないのだ。
2010.03.24
人に買いものをさせるのには最高の方法だ。研究によれば、購入するかどうかの決断が割引クーポンの発行に左右されることは多い。だが、ここに問題がある。クーポンはあまり使われないのだ。(中略)
アメリカの消費者は、平均で三〜四枚の未使用のギフト券を財布や鏡台の引き出しにしまっている。この未使用の金券の額を合計すると、アメリカ人は年間八〇億ドルを失っている勘定になる。
『しまった!』(講談社)より
別にアメリカ人に限った事例であるはずもないが、著者はアメリカ人だし、この種の大規模調査を好んでやる研究者もたくさんいる。
それにしても、全米での年間総額とは言え、八〇億ドルというのはなかなかすごい金額だ。当然これは、いろいろな企業をその分だけ儲けさせているはずである。
心理学的に言っている「この種のミス」というのは、「自分の将来の行動予測」である。クーポン券だとかギフトカードだとかいったものは、「将来使う」以外の使い途はない。
しかし、購入時点で想像する将来像というのは、信頼できないのだ。そのことを示す心理調査は山のようにある。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.24 22:25
あなたが来たからこうなったのよ
2010.03.22
その惨劇の裏にある、見えない社会的な理由を明らかにするのが、金田一耕助の役目です。外来者であるみなさんは、一歩間違えると惨劇の被害者になるかもしれませんし、うまくすると金田一耕助に助けてもらえるかもしれません。もし、うまいこと助かったとしても、きっとヒロインあたりから、「あなたが来たからこうなったのよ」などと理不尽なことを言われるでしょう。
『ソーシャルブレインズ入門』より
いったい何の話か、と思われるだろうが、これは脳科学(神経科学)の本からの引用だ。
「惨劇」などというと金田一耕助よりむしろ、今では「ひぐらし」だろうか。 しかし、言っているテーマは同じである。
つまり、きわめて因襲深い社会構造を支える、「外部」からは非常にわかりにくい「社会脳ネットワーク」とも言うべきものがあって、 そのネットワークではあまりにも常識的なルールや価値観を踏みにじる「無邪気な人」は、何かしらの問題を起こさずにはいられないということだ。
「神殿」に潜り込むとか。
この本ではそんな普通は「独自の文化」という言葉で説明されそうなものを「社会脳」という視点から説明している。いろいろなことを考え合わせながら読むと、興奮させられる好著。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.22 11:04
「内証の話」というのは秘密を誰かに
2010.03.19
「内証の話」というのは秘密を誰かに—しかし特定の人のみに—伝えるということである。秘密は本来守るべきものでありながら、案外広がってゆくものである。
河合隼雄『影の現象学』より
秘密というのは、なかなか不思議なものだ。ここで河合は有名な『王様の耳はロバの耳』について論じているのだが、不幸な床屋はこの秘密の保持に耐えられず、病気になってしまう。
秘密を意図せずに手に入れるのが、床屋というのも興味深い。私は理容師・美容師が人々の色々な秘密にけっこう通じているだろうと、髪を切られるたびに思うことがある。理髪とカウンセラーはぜんぜん違うようで、ちょっと似たようなところがある。
カウンセラーや臨床家は、もちろん「内証の話」を聞く機会が多いはずだ。王様の耳がロバの耳だと知った床屋の「カウンセラー」は「穴」だったが、「穴」からは音が漏れないから「秘密」を吐き出すことができるわけだ。アメリカでカウンセリングを受けたときには、防音壁に守られた「穴ののような部屋」で「秘密の告白」をさせられたものである。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.19 23:03
プレイヤーの脳活動を観察していれば、パットが成功するか失敗するかを予測できる
2010.03.18
たとえば、世界最高レベルのプロでも100%成功するわけじゃないでしょ。じゃあ、なんで彼らは失敗するのかって話。この論文では「プレイヤーの脳活動を観察していれば、パットが成功するか失敗するかを予測できる」というんだ。ちょっとびっくりじゃない?
『単純な脳、複雑な「私」』より
ゴルフのパットより、私がいつも見ていて不思議だったのは、プロボーラーによるゲームが成り立つということだった。
ボーリングをやっているとはもはや思えないような、どこへでも投げられるし、どのピンも自由自在に倒せるようにしか思えない人たちが、 基本的には同じ条件下で、同じボールを転がす。
はっきり言って私には、みんな300になってしまうんじゃないかと思えてしまう。
私は少々テニスをかじっているので、もうひとつ不思議なことがある。プロのテニスプレーヤーが、ダブルフォルトすることだ。
セカンドサーブは、基本的にファーストサーブよりは「安全策」をとる。2打連続で「全力で」打って失敗すると、自動的に相手の得点になるから。そこでだが、私ですら、「絶対にサーブを入れる」ということにすれば、まあ99%、フォルトは避けられる。(サーブとは言えないようなサーブにすれば、ですね)。
もちろんプロ同士だから、「冒険してでも、たとえセカンドでも、ある程度強いサーブを打つ必要がある」という理屈はわかる。(私の仲間にもそういう理屈にしたがって、50%以上ダブルフォルトするような人もいる)。けれど、テニスのダブルフォルトは野球のフォアボールとちがって、フォルトは自動的に相手の得点になる。満塁でクソボールを投げちゃったけど、相手が振ってくれたから三振とれてラッキー、ということがない。
セカンドをフォルトするというのは、とても割に合わないように見えるのだ。ゆるく打ってリターンエースをとられたとしても、ダブルフォルトと同じく1点失うだけ。リターンエースをとられることは、100%ではない。ならばどうにせよ、入れておくべきではないかと思うわけで、入れておくことなら100%できそうに思うのだが。
プロテニスプレイヤーのダブルフォルトは、「ゆらぎ」のせいなのだろうか?
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.18 18:43
きっともう一語も書けなくなるさ
2010.03.17
現実に、いくつかの実験によれば、自分を低く考えていたり能力を過小評価している人間は、不協和をもたらすような成功を不快に感じ、不幸な偶然であるとか異常なこととして片付けてしまう。
だから、励ましてくれる友人や家族にも頑なな態度をとってしまう。「すごいわ、ピューリッツァー賞をもらうなんて。素晴らしい作家だということよね」といわれれば、「いい話だが、まぐれだよ。きっともう一語も書けなくなるさ」と返すのだ。これでわかるように、自己正当化は高い自尊心を守るだけではない。低いならば低いなりの自尊心も、自己正当化によって守られるのである。
(『なぜあの人は過ちを認めないのか』より )
斜に構える、あるいは慎重な態度ということもできるのであるが、人が守るべきは自己自身や、自己イメージだけではないということだ。
人は、自分が生きている世界の自分なりのとらえ方のようなものも、とても大事にしている。「その世界」での「自分の生き方」をイメージしているからだ。
だから、「その世界」における「自分の能力」についても「よく知っている」のであり、「その世界」で起こりうる、「最悪のこと」も「最善のこと」も「知っている」のである。
現実に起こった「善いこと」が「自分の知っている世界」で起こりうるよりもはるかによいことだというのは、「いい話」だが、危険なことだ。それでは「自分の生きているこの世界」は「現実」をきちんと反映していない、ということになる。
つまり、はるかによいことが起こりうるということは、はるかに悪いことも起こりうる、という可能性を示唆する。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.17 16:58
父と兄がインヴェーダーになっている
2010.03.15
夢 父と兄がインヴェーダーになっている。そしてテレビの「インヴェーダー」を見ている。テレビの中でインヴェーダーがやられると兄の顔色が変わったのでわかった
河合隼雄『影の現象学』より
著者はこれをある離人症者の夢、として紹介しているが、なるほどそんな感じである。河合も後述しているが、これは「カプグラ症候」をも連想させる。
「カプグラ症候」はたとえば有名な本の中では、『脳のなかの幽霊』で紹介されている。 自分の両親が、自分の両親のように「感じられない」などと訴える障害である。
そっくりだが、ちがう。なぜそっくりな姿格好で、自分を騙そうとするのか? などといったり考えたりする。
よく言うように、「一度くらいは自分が、自分の家の子ではないかもしれないと、誰しも疑う時期がある」のと、深い関係があるのはもちろんだが、心の底からそう感じることがあるという点で、両者は異なる。
一般的には、「そういう可能性を完全には否定できないではないか」と知的に考えるのであって、 そのような「感じる」わけではない。カプグラ症候のある患者は、この逆のことを言った。「知的には自分の両親だとわかっているのだが、感覚として受け入れられない」と言うのである。
父と兄がインヴェーダーというのは、これとはまたちがうが、 感覚的な強い違和感を覚えているということが、共通してある。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.15 17:16
火事かどうかはっきりしなかったんですが
2010.03.14
「火事かどうかはっきりしなかったんですが、何かおかしいと思いまして」
-『冷淡な傍観者』より
人は、一人きりで「事件」と対面したときには、それを「事件だ」と素速く認識することができるが、目撃者が多くなればなるほど、認識することができなくなる。
これが、都会のど真ん中で運悪く倒れ込んだりすると、「みんなに無視される」という恐ろしい経験をするハメになりかねない、理由である。ビブ・ラネタとジョン・ダーリーという二人の社会心理学者が突き止めたのは、そういうことだ。
「火事かどうかはっきりしない」時、「煙」を多くの人が見守っていると、誰も動こうとしなくなりがちなのだ。ふつうの人は、自分の判断力を「誰よりも上」だなどと買いかぶっていないので、「他の人が黙ってみているということは、たいした問題は起こっていないのだろう」と思ってしまう。
自分だけが騒ぎ立てて、失笑を買うのもいやだ、という心理も働くのかもしれない。一人きりであれば、その心配もない。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.14 18:16
重要なのは、この考えを誰ひとり、いちどとして、赤ちゃんに試していないってことだ。
2010.03.12
クラシック音楽で赤ちゃんが賢くなるという考えは、今日まで、新聞、雑誌、書物で何度となく取り上げられ、多くの国の人々の知るところとなった。その過程で、もとの報告に出てきた「大学生」はだんだんと子供や赤ちゃんに置き換えられてきた。大学生に対する効果は赤ちゃんにも当てはまると思っているジャーナリストもいるけど、探にもとの研究を知らないだけの人もいる。
1999年、別の科学者グループが大学生に対して同じ研究を行ってみたところ、結果は再現できなかった。でも、最初の報告が間違っていたかどうかは大きな問題じゃない。 重要なのは、この考えを誰ひとり、いちどとして、赤ちゃんに試していないってことだ。
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だからと言って、子供のクラシックを聴かせてもしようがない、ということではない。それでIQが高くなったという研究が「ネイチャー」などに載ったことはないと著者は言っているにすぎない。
都市伝説というのは、「信じられやすい話」のオムニバスだろう。これを研究した本も最近は多く出てきているが、この手の話が人間の心に「刺さりやすい」のだ。
たいていは「クラシック」と言ってもモーツァルトであって、ベートーベンではないところも、ミソかもしれない。これは「大学生」を研究対象としたとき、使った音楽がモーツァルトのソナタであったことにも由来している。
もちろん、赤ちゃんにいきなり、ホフマンのオペラを聴かせても、「頭がよくなりそうにない」と直感的に思えるから、「キラキラ星変奏曲」あたりがオムニバス候補になりやすいのだろう。このあたりに「都市伝説」が広がっていく要因がありそうだ。
私の友達もかつて子供ができたとき、そういうCDを買ったと言っていた。私の妻も、娘にせっせと聞かせている。IQはよくならないとしても、まあ悪い影響はないんじゃないかと思いながら、私はだまって聞いている。
投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.12 23:59
人々は何より恐怖からそれにしがみつくのです。
2010.03.11
セラピーと呼ばれるものの実践は、その仮面を捨て去る可能性に大きく関連しています。人々は何より恐怖からそれにしがみつくのです。仮面は、敵と感じられる他者の攻撃から身を守るために内側に築いた城のようなものであり、同時に、抜け出すことのできない牢獄でもあります。
R・D・レイン-デイヴィッド・コーエンのインタビューに答えて
レインといえば『ひき裂かれた自己』が何といっても有名だが、「分裂病(質)」について彼の説明は一貫してこうである。
ポイントはいうまでもなく、「誰もがやることのひどく極端な様式」というもので、たとえば誰だって、ふつうは「不潔」なものを退け、きれいなものと切り離すようにするものだが、これが度を超すと、「完全に殺菌消毒された空間」でなければ生活できなくなる。
ところで、そういう人はトイレに行くことができないから、ごく限られた空間以外は恐ろしく不潔になってしまうという、自然なパラドックスに悩まされることになる。
異様に見えるのは現実の世界であっても、難しいのは心である。シンプルに考えれば、何年も風呂に入らなかった人であれ、決意すれば、1日でずいぶんさっぱりすることはできる。
「心の内側から築いた城」は一瞬で取り払うこともできるが、永遠に問題を引き起こし続けうる。または永遠に難問であり続けるかもしれない。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.11 22:09
4月8日(木)、大手町にてパソナテックさん主催で、「マインドハック研究会 コミュニケーション編」
2010.03.09
4月8日(木)、大手町にてパソナテックさん主催で、「マインドハック研究会 コミュニケーション編」を開催いたします。
テーマは、「怒りのバリエーション」です。 怒りはいつも「怒り」として表現されるとは限りません。時には表現されることなく、抑うつという症状となって現れたり、あるいは「悲しみ」に転化することもあります。あるいはまったく別の形で表現されることもあるのです。
抱えきれないほどの怒りは、「適切にほどよく表現されるべき」ではありますが、その具体的な表現方法については、お悩みの方も多くいらっしゃるでしょう。
また、もうひとつの「悲しみに転化する」という問題もあります。怒りと悲しみは、しばし重なり合い、同時に襲います。それは心を大いに揺さぶり、時に激震となって心にダメージを残すのです。
私たちが身につけるべきは「感情を抑え込み溜め込む忍耐力」ではありません。そうではなく、必要なのは「感情を必要に応じて分析し、コントロールするための知識」なのです。
大人に必要なコミュニケーション心理学とは、これを出発点にしなければなりません。
このセミナーでは、いわゆる「コミュニケーション技術」を身につけるのではなく、問題を発生させるコミュニケーション心理をおさえます。 そして可能な限り、個別のケースに潜んでいる「コミュニケーション意欲を殺す困難」を扱いたいと思います。
今回のセミナー
今回のセミナーは2時間。
上述の「心理学的基本テーマ」をまず紹介し、続いて簡単な「心理ハック」を紹介しつつ、参加者のみなさんとの懇談に入ります。
最後に今回は、ミニセミナーも行えればと思います。これに関しては、後ほど募集をかけさせていただきます。
なお、セミナー修了後、懇親会を行います。お時間のある限り、ご参加いただけますと嬉しいです。
投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.09 22:46
3月25日(木)、銀座アップルストアにて、iPhoneによるビジネス活用をテーマとしたセミナーを緊急開催
2010.03.06
3月25日(木)、銀座アップルストアにて、iPhoneによるビジネス活用をテーマとしたセミナーを緊急開催します。
今回は45分と、時間もそれほど長くはありませんので、ビジネス活用シーンを中心に、話題を絞る予定でいます。
質問タイムは30分と、長く取ってありますから、直接私に問い質したいことがございましたら、無料ですし、ぜひ来ていただけますと幸いです。
開催概要は、「こくちーず」の画面よりどうぞ。
投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.06 23:51
電子書籍「Evernoteハンドブック」をリリース
2010.03.05
3月3日、「Evernoteハンドブック」という電子書籍をリリースしました。お値段は980円です。
この本は、まったく新しいタイプの本です。出版社からの発行ではなく、編集プロダクションさんの編集もなく、書店さんに置かれていません。それなのに、ご覧いただければ分かるとおり、これはまぎれもなく「本」なのです。
電子書籍だからといって、普通の書籍にひけをとることはありません。本書ではEvernoteをめぐる最新の情報、コンテンツをもりこんでいるばかりでなく、本格的な編集を通して情報が読者によって見やすくなるように工夫がこらされています。 http://evernotebook.com/information
成長する本
電子書籍という独特の形態を選んだおかげで実現できたことの1つが、「成長する本」という側面です。 情報は古くなります。改訂できますが、追いつかないことも多く、売れなければそもそも改訂の機会は与えられません。
しかし、本書は売れ行きとは必ずしも関係なく、常に改訂し続けることができます。読者と、著者とが望めば、そのつど改訂できるのです。その意味で、「自己学習する本」ということもできます。
それはEvernoteがまだまだ発展の途上にあり、今後もアップデートが進められることと関連しています。本書は通常の書籍と異なり、刊行後は情報が古くなるのを待つことはありません。今後Evernoteから新機能が発表されるつど、本書はそれに寄り添ってきめ細かい改訂を行います。より便利になってゆくEvernoteとともに成長する本なのです。 http://evernotebook.com/upgrade
著者が作った本
言うまでもない話ですが、そもそも本とは著者が「書く」ものです。しかし著者はふつう、「本を書く」とは言っても「本を作る」とは言いません。「本を作る」のはやはり、編集さんであり、出版社さんです。 ですが、本書は著者が書き、著者が作った本です。
執筆は当然ですが、企画、役割分担、デザイン、組版、販売システムの構築、告知とマーケットまで全部3人でやりました。
この実験によって、少なからず勇気づけられる人は、確実にいるでしょう。そういう意味から、このような企画を熟慮して、並々ならぬ情熱で具現化した堀さんには、大いに敬意を払いたいと、私は思っています。
投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.05 18:34
痛みや気分や願いが、それを抱く人間なしに、勝手に世界を
2010.03.01
「痛みや気分や願いが、それを抱く人間なしに、勝手に世界をうろつくなどというのは、不条理に思える。経験は経験者なくしてはありえない。内なる世界は、その内なる世界の主人たる人間の存在を前提とする」
-ゴットロープ・フレーゲ 『赤を見る』(ニコラス・ハンフリー著)の引用より
『赤を見る』とは、小説のタイトルのようだが、これは象徴的な意味ではなく、そのものずばりの問題を主題にした心理学書。
あるいは神経科学読本。または哲学書。
こういうテーマに取り組むということ自体、アメリカの心理学の学部生あたりには許されていない。許してくれる教官もいたが、それは放置してくれるというのと変わらない。
けれども、「哲学的にではなく」、こうしたテーマに取り組みたいと思っている認知科学、または認知神経科学者(の卵)という人は、大勢いるのだ。
素人くさく言えば、自分が研究したいと願っているテーマを勉強できないのなら、研究者というのは何なのだろう。自分のひきたい演目を一度も演奏せずに終わるピアニストというようなものだ。
世界的にも有名な、アントニオ・ダマジオがどこかで告白していたが、彼は自分がやりたいと思う研究テーマのことを思う存分本に書けるようになるために、やりたくもない研究を非常に効率的にこなしてきたという。
| 赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由 | |
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.01 17:50






社会と脳
日本人にはぴったりの訳書にした・・・?
理性の脆さ


















