Sはみなさんが意識を持っていることを好むだろうことも、私は確信している。
2010.03.31
Sはみなさんがゾンビでないことに気づきうるし、おそらく気づくだろう。正直に認めるが、私としては嬉しい限りだ。すでに主張したとおり、Sは(と言っても、じつは私自身について語っているのだが)感覚を経験することを好むし、意識を持っていることも好むと私は思う。しかし、Sはみなさんが意識を持っていることを好むだろうことも、私は確信している。
ニコラス・ハンフリー『赤を見る』より
ゾンビ。
通常はホラー映画に登場する、泥でできたような、妙ちきりんな幽霊のような存在、というイメージが強いと思うが、心理学とか、神経科学とか、神経哲学といった分野では、一種の専門用語として扱われている。
ゾンビには、いわゆる「主観」がない。その他の点では、ふつうの人とまったく変わらない。
ただし、ゾンビに対して「君は主観がないんだね」と言ったら、腹を立てる。正確には、腹を立てるふりをする。その「フリ」があまりにも上手なので、「フリ」だということは誰にもわからない。
もちろんゾンビ自身には、自分が「ふりをしている」という自覚もない。というより、どんな「自覚」もゾンビにはない。
私たちには他人の「主観」がまったくわからないので、じつは自分以外の人間はみな「ゾンビかもしれない」という可能性から逃れられない。
ゾンビは、行動科学的な見方を徹底的に推し進めた先に現れる光景、というふうに考えられるような気もする。
| 赤を見る―感覚の進化と意識の存在理由 | |
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.31 22:15
願わくば、最良の処置をとってもらいたいものです。
2010.03.31
もし私が路上で殴られて倒れ、意識を失い、内臓破裂のために出血しているとしたら、私は、私に対する他人の行動に完全に委ねられることになります。こうした状況では、それに対して社会が決めているやり方に従ってまわりの人々が行動することにまったく異存ありません。願わくば、最良の処置をとってもらいたいものです。
R・D・レイン(ディヴィッド・コーエンのインタビューに答えて )
これはたとえ話なのだが、どういう状況を想定しているかというと、自分が精神障害者だった場合、「どういう扱いを自分の意志に関わりなく執り行われてしまうか」についての話なのである。
レインはこの問題について一般的な精神科医には受け入れがたい指摘をたくさんしたとされる。本人としてはごく常識的なことを述べていたつもりであっても、そう受け止めない人は多かった。
「願わくば、最良の処置をとってもらいたいものです」という言葉にも、たとえ話を述べているとしても、ある種の隠しがたい不信感が感じられる。
もちろん時代が違うのだが、レインは精神障害者が「状況によっては」自分の脳の一部を取り除かれるかどうかを決める権利すら持っていない、と言っている。
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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.03.31 12:12








