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B・F・スキナー『自由への挑戦』

2009.10.29

私たちは一般に「B・F・スキナー」としか覚えていないこの人の名前は、バラス・フレデリック・スキナー。行動することに価値を置くアメリカでは非常にうけのよかった「行動主義者」の第一人者ですが、代表作と言っていい「自由への挑戦」は決してうけがよくありません。

今ではむしろ、忘れ去られつつあります。

その理由は明瞭で、この本は「共産主義的なにおい」がするらしいのです。私には典型的に「アメリカ心理学らしい」感じがしたのですが、多くのアメリカ人に言わせると、「危険な書」ということのようです。

行動の動機は誤解されている

本書が物議を醸したのも、言語学者チョムスキーに激しく非難されたのも、 第一の原因はここにありました。

スキナーはフロイトだけでなく、およそ「精神主義」的な心理学に容赦しませんでした。物言いはそうラディカルに聞こえないのですが、主張は徹底していて「心理学は人間の行動の動機を勘違いしているので根本的に間違っている」と考えました。

「精神主義的な心理学」は人間の行動の動因を「内在するもの」に求めます。内面に動機があって、それに動かされて行動するというわけです。 

スキナーはこれに反対しました。

環境こそが行動を作る 

心理学者に限らず、今はほとんどの人が単純二元論を信じているようには思えません。行動を起こす「肉体」(目に見えるもの)と、行動を起こさせる「精神」( 目に見えないもの)をきれいに区別して、前者が動くのは後者による、と、単純に考えてはいないでしょう。

でもスキナーによると、みんなこれを信じている。だから「心の持ち方を変えれば」行動はよくなるという「前科学的な」主張があちこちではびこっていて、世界は少しも良くならない、というわけです。 

これに対してスキナーが言いたかったのは、私たちの行動は環境によって決定される。たとえば、「特売」と書かれた牛肉のパックを見て、3パック買うといったように。

その「行動」が今度は「環境」を作り出す。たとえばその購買行動を見ていた近くの主婦も特売のパックを買うというわけです。

だからちょっと長くなりましたが、スキナーの行動科学において、「精神主義的な心理学」が好む、「人格」(目に見えない)だとか「無意識の目的」(目に見えない)だとか「精神の状態」(目に見えない)などというものを調べることはないのです。行動の動機は、どのような状況下と条件(どちらも目に見えます)でその行動が起こったかを調べればことは足りるからです。 

 

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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2009.10.29 01:00

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