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私はあらゆることが怖いんです。

2010.02.18

 

 私はあらゆることが怖いんです。こうやって、先生のクリニックに相談に来るのも怖いし、予約を入れるのも怖い。助手のみなさんや他の患者さんから見られるのも怖いし、ここの帰り道に通行人たちに見られるのも怖い。パン屋に立ち寄ってパンを買うのも怖いし…(中略)…好きになりそうな人に出会うのが怖いんです。だって、もしその人に気に入ってもらえなかったらと思うと……。

-社会不安症の患者の言葉(『他人がこわい』(紀伊國屋書店)より) 

 

 

この人は「あらゆることが怖い」と言うが、実際には「人が怖い」のである。たしかに人は怖い。

馬鹿にしてくるかもしれないし、見下してくるかもしれないし、急に怒り出すかもしれないし、騙そうとするかもしれない。ウソをつくかもしれないし、こちらが気に入っても、相手は気に入ってくれないかもしれない。

のであるが、大半の人たちは、そういう状況にもまあまあ折り合いをつけている。というのも、人は常に間違いなく怖いばかりではないからだ。楽しいこともあるし、やさしいこともある。

それに、仮に「怖いと思って当然」なよろしくない事態に出くわしても、致命的なことにはならないと思っている。 

神経症というのは、よく思うのだが、よくあるネガティブな感覚が、何らかのきっかけで驚くほど拡大されて起こるものらしい。不潔、静電気、他人の視線による緊張感。たいていの人にとってそれらは決して愉快ではないが、「絶対に避けなければならない」というほどのものでもない。

私はかつて留学中に、「静電気恐怖症」になりかけたことがある。金属製のものを見ると、絶対に手を触れたくなくなるのだ。だから必ずゴム製の手袋と、霧吹きを持って出かけるようになってしまった。真夏でも。その頃はたしかに「ちょっと変だった」と思う。

なぜああいう感覚に陥ったのかはよく分からないが、もともと静電気は好きではなかった。とは言え、これは誰でも同じだろう。問題は、あれほどまでに忌避感を拡大していたことなのだ。 医者にはかからずに日本に戻ったら「なおった」が、そのきっかけも不明なままだ。

ただ、いまでも、静電気を人並みよりは怖がる。 

 

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投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2010.02.18 00:57

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