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「トラウマ」を消去できるとしたら?

2008.10.27

マウスの記憶の選択的消去に成功
マウスの掌にショックを与えるなどの刺激を与えた後、その記憶を再生する際にCaMKIIを大量生成させると、記憶の再生がブロックされるだけでなく、記憶自体を消去できたとのこと。この手法では1時間前の記憶も1ヶ月前の記憶にも同様に消去でき、また脳細胞を破壊することもないという。さらに、該当の記憶のみを消去でき、それ以外の記憶には影響を与えないとしている。
http://slashdot.jp/science/article.pl?sid=08/10/26/1638212
 
スラッシュ・ドットジャパンのエントリより孫引き。

実にいろいろなことを考えさせられる内容ですが、真っ先にPTSDへの実用ということを、多くの人が考えるでしょう。

同時に、フロイトはの精心分析療法が思い浮かびます。ものすごくおおざっぱに言えば、フロイト主義によると、およそ精神障害というものは、思い出したくもない記憶(トラウマ)を持っていると、その事実に自我(エゴ)が耐えられないので、抑圧という機能を使って、無意識の底に沈めることになります。

そのように、フロイト派によれば、あまりに都合の悪い記憶は忘却されてしまうわけですが、あくまで抑圧であって消去ではないため、いろいろなタイミングでトラウマは意識に浮上しようとしてきます。たとえば悪夢などの形を取って。

そのように、自分が「抱えきれない体験や記憶を抱えている」という状態が、精神症という形で現れるので、自我が耐えられるように療法家がサポートしてあげて、「記憶を統合」することにより、精神症は治癒されるということになります。

しかし、トラウマそのものを選択的に消去できるとすれば?
いいことのようでもあり、何か強引な印象も残ります。

とは言えこれは善意の応用であることは確かです。問題はこうした技術が、容易に悪意ある使い方もなされること。ちょっと想像しただけでも、商業利用、だけならまだしも、軍事利用価値がある技術だということはまちがないでしょう。すぐさま実用段階に入るとはとうてい思えませんが。

投稿者 : 佐々木 正悟 | 投稿日時 : 2008.10.27 16:00

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