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佐々木 正悟
2010年03月14日
「火事かどうかはっきりしなかったんですが、何かおかしいと思いまして」
-『冷淡な傍観者』より
人は、一人きりで「事件」と対面したときには、それを「事件だ」と素速く認識することができるが、目撃者が多くなればなるほど、認識することができなくなる。
これが、都会のど真ん中で運悪く倒れ込んだりすると、「みんなに無視される」という恐ろしい経験をするハメになりかねない、理由である。ビブ・ラネタとジョン・ダーリーという二人の社会心理学者が突き止めたのは、そういうことだ。
「火事かどうかはっきりしない」時、「煙」を多くの人が見守っていると、誰も動こうとしなくなりがちなのだ。ふつうの人は、自分の判断力を「誰よりも上」だなどと買いかぶっていないので、「他の人が黙ってみているということは、たいした問題は起こっていないのだろう」と思ってしまう。
自分だけが騒ぎ立てて、失笑を買うのもいやだ、という心理も働くのかもしれない。一人きりであれば、その心配もない。
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