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CTOインタビュー

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第12回(1)パイプドビッツ佐谷氏「大学院から業界違いのIT業界で起業したわけ」

2007.11.05

第12回は、顧客情報管理ASP「スパイラル・メッセージングプレース」(以下、「スパイラル」)を展開する株式会社パイプドビッツ代表取締役社長兼CEOの佐谷宣昭氏です。(1)では、大学で建築を学び、大学院修了と同時に起業した経緯をお伺いします。

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パイプドビッツ佐谷氏の経歴
1995年 九州大学工学部建築学科卒業
1997年 九州大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程修了
2000年 九州大学大学院人間環境学研究科都市共生デザイン専攻博士後期課程修了
博士(人間環境学)の学位取得
2000年 株式会社サハラ(現株式会社パイプドビッツ)設立、代表取締役就任

 

大学院修了と同時に起業を決める

■大学院を修了されて、すぐに会社を設立されているんですね。このあたりの経緯を教えてください。
大学と大学院では建築学、その中でも都市計画を研究していました。大学院は、単位だけ取っても修了できない仕組みで、学位論文の審査を通らなければなりません。一定の期間内で学位を取得できなかった場合の選択肢は2つあり、ひとつはそのまま大学に残るという選択肢、もうひとつはいったん単位取得退学して、仕事をしながら論文を提出して学位を取得する選択肢。私はどうしても「退学」せずに、学位を取得したかったのですが、1999年の12月になんとか修了の目処が立ち、翌春以降のことを考え始めました。

■12月といえば、一般的には就職活動が終わっている頃ですよね。
そうですね。私は大学院を修了した時点で27歳でしたから、新卒扱いで企業にエントリーすることは考えませんでした。また、一般的には大学に残って教授への道を目指すのかもしれませんが、それも考えませんでした。

■起業に至った理由というのはあるのでしょうか。
1999年はまだITブームの真っ盛りでした。大学の中でも、もっとも起業ブームが高まった時期だったのではないでしょうか。大学で仲間が集まっては、ビジネスや起業の話をしているという状態でした。そんな中で、私の大学時代の恩師の後輩に、IT業界で活躍している社長さんがいらっしゃるということで、ご紹介いただく機会がありました。学生当時、私は福岡に住んでいましたが、東京に上京して、その会社でインターンのような感じで職場を見学させて頂く機会を得ました。

■実際にビジネスの現場をご覧になっていかがでしたか。
営業先に同行させていただいたり、業務を手伝わせていただいたりと、貴重な体験でした。「インターネット」でどうビジネスしているのかが、少し解った気がしました。インターンを経験するまでは、インターネットがどうやってお金になるのかということがよくイメージできていませんでした。
当時は学生の間でも、「インターネットはすごい」と話題になっていたのですが、ビジネスというと広告ビジネスくらいしか、イメージできませんでしたね。

■そのイメージは、ビジネスの現場でどのような広がりを持ちましたか。
2000年1月に、実際にインターンさせて頂いた会社の社長さんとお話しできたのですが、この会社はインターネットを使った販促のアウトソーシングを受託する事業を行なっていました。その仕事の中身を見て、「なるほど」と思うことがありました。インターネットを使うと、こういった新しい形のダイレクトマーケティングができるのか、であれば、こういうことも、ああいうこともできるなとアイディアとビジネスが「繋がって」イメージできるようになりました。

■そのアイディアから起業に至るんでしょうか。
インターン先の会社は当時10名くらいの規模のベンチャー企業でしたが、社長さんと2人でお話しした際に、私自身の考えや、ビジネスのアイディアについてお話してみたんですね。そして、この春からどうしようかと思っているという話をしたところ、出資するので会社を作ったらどうかという話になりました。

■いきなり出資ですか。
はい。会社設立が決まった時点で、会社として具体的に何をするかは決めていませんでした。今振り返ると、この頃は志があれば、お金が集まる時代だったのかもしれません

3度やってきた「ソフトウェアの流通革命」

■何をするか、まったく決まっていなかったんですか。
アイディアはいくつかありました。頭にあったのは、業務の「効率化」と、「ソフトウェアの流通」です。

■詳しく教えてください。
「効率化」については、まだまだ改善できる余地が山のようにあるように感じていました。インターネットという、コンピュータが繋がった状態で、ソフトウェアが動くということで、煩雑だったプロセスが解消されたり、もっとダイレクトにやり取りがされるようになったり、大きな変化が訪れるという実感がありました。もうひとつの、「ソフトウェアの流通」については、近い将来変わるだろうと予想していました。このことが現在のビジネスにつながっています。

■ 確信めいたものがおありだったんでしょうか。
私は、学生時代からインターネットに興味があったので、雑誌やメーリングリストなどで情報収集していたところ、1998年頃から「ASP」というキーワードを良く見かけるようになりました。ASPは業務の効率化もソフトウェアの流通も変えるなと思い、可能性を感じていました。

■ ソフトウェアの流通が変わるというのはどういうことですか。
私は、1991年に大学に入学しました。当時は、まだひとり一台コンピュータを持っている時代ではなくて、インターネットもつながっていません。

■コンピュータは大学で学ばれたのでしょうか。
情報処理の講義も、理系の学生のみが取るような状態でした。今は、文系の学生もプログラムやWebページ作成などの実技を学ぶのかもしれませんが、当時は理系に用意された特殊な科目でした。その講義で私が使ったのはPascalだったと思います。

■あくまでコンピュータは計算機としての扱いだったということですね。
そうですね。当時は一部のコンピュータに詳しい人たちや、特殊なゲームをやるのに必要な人たちが使っている感じだったと思います。大学の講義で使っていたコンピュータは、端末に文字だけ映し出されるような簡素な画面です。ソフトウェアというものは使いたい用途にあわせて、誰かが作るものだと認識していました。OSも今のWindowsのように普及したものはなかったですし、当然今のようにパッケージソフトみたいなものもほとんどありません。ソフトウェアは、個別に受注生産するものだったのだと思います。

■ プログラムは作るものだということですね。
1995年に大学院に進学する頃には、Windows95が発売されて、一般の人でもコンピュータを買ったり使ったりすることが増えてきました。ソフトウェアも、用途別にパッケージソフトのようなものも増えてきて、フロッピーディスクでコンピュータにインストールするようになりました。まもなく、CD-ROMになりましたが、その頃はひとつのソフトウェアをインストールするのにフロッピーディスクが5枚、10枚必要なんてこともざらで、抜き差ししながらインストールしていました。

■確かにフロッピーディスクでインストールしていましたね。
これがソフトウェアの流通革命の1回目だと思います。ソフトウェアは個別に作るものから、工場で作ってお店で買えるものになりました。

■ その後も流通は変わるんですか。
変わりますね。2回目はその数年後、1997年頃から、サイボウズさんがソフトウェアをインターネットでダウンロード販売を始めました。もうCD-ROMはいらないわけです。ユーザーがいつでもダウンロードできる、自動販売機のような感覚になりました。インターネット上なら、自動販売機の設置代もかからないし、しかもその場所まで行くコスト、つまり通信コストもお客さんが払うという仕組みです。これは驚きました。

■その後はいかがですか。
その次がASPですね。ソフトウェアはもう流通させなくていい、サーバで動いているものを使うだけでいい、もうダウンロードも、インストールも要らなくなりました。これがソフトウェアの流通革命の3回目ですね。

■たった10年で3度も革命が起きているんですね。
たった10年で、ですね。ソフトウェアはサーバ側で動かして、クライアント側は表示するだけという仕組みは、CD-ROMを購入したり、ダウンロードして入手したソフトウェアをパソコンにインストールして使うのと比較すると、それはまったく次元の異なる進化なんです。

■ 次元が違うんですか。
ベンダーとユーザーの双方に利益があります。ベンダーは個別のメンテナンスをする必要がありません。機能が追加されて、バージョンがあがっても配布する必要もインストールしてもらう必要もありません。ユーザーは利用する場所を選びません。端末さえあれば、自分のパソコンである必要もありません。セキュリティの観点を抜きに言うなら、会社のパソコンで使ったソフトウェアを、家の自分のパソコンからも使えるってことです。これはすごいことだと感じました。同じ1998年ごろ、携帯電話もインターネット端末の機能を搭載したモデルが爆発的に普及しました。

■インターネットとソフトウェアを取り巻く環境が変わろうとしていたんですね。
そうですね。あの頃のような新しい考え方や可能性を感じる機会は、今は少なくなったかもしれませんね。当時考えていたことを実現するフェーズにいるということだと思います。

次回11月12日更新予定
第12回(2) 「会社を立ち上げて、独自サービスを作り始めるまで」

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投稿日時 : 2007.11.05 09:05

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