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CTOインタビュー

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第12回(3)パイプドビッツ佐谷氏「やった事がないことを『できる』と言い切る人間は成長する」

2007.11.19

第12回(3)では、株式会社パイプドビッツ代表取締役社長佐谷氏に、主力サービスである「スパイラル」開発に至った、インターネットサービスにおけるデータベースの重要性と、仕事をしながらチャレンジするコツについてお伺いします。

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インターネットのすごさは、データベースのすごさ

■「スパイラル」のようなサービスを作りたいと思った理由はありますか。
インターネットマーケティングのビジネスを知り、様々なソフトウェアを開発する中で、データベースの重要性というのを強く感じていました。たとえば、電子メールを使ったマーケティングの仕組みでも、顧客情報や、メールアドレスのリストを使います。では、そのリストはどのようにして集めるかというと、顧客に登録して頂くわけです。インターネット上で、メールアドレスを登録してもらい、インターネット上でメールを配信するわけですから、顧客情報や、メールアドレスリストはインターネット上に置いておけばいいですよね。だから、そのプラットフォームであるデータベースがきちんとしていることが大切だと考えるようになりました。そして、その一番大事な部分を作ってみたいという考えが、「スパイラル」開発への原動力となりました。

■データベースというのは、データの格納庫という概念ですね。
インターネット上のあらゆるものは、全部データベースで説明ができるんです。たとえば、ドメインというのは、世界でもっとも広く普及している分散データベースですよね。JPドメインは、日本のJPRSが管理している日本のドメインの集合体で、IPアドレスとドメイン名の対応表があるわけです。同様にCOMドメインならCOMドメインの対応表があって、これらが相互に参照しあうことで、世界的な情報インフラであるインターネットが構成されているわけです。

 インターネットは、そもそもデータベースであるわけですね。
Webサイトもそうですよね。文章などのコンテンツが、HTML(Hypertext Markup Language)で書かれています。HTMLは非常に先進的なデータベースで、コンテンツの中身にインデックスを作れますよね。HTMLが普及する前のデータベースは、インデックスと中身で構成されていました。ハイパーテキストの概念自体は、何十年も前からありましたが、これが実際に一般的に使われるようになったのが、1990年代だったんですね。私たちは、その登場に興奮して、学生同士で「これはすごい」とか「こうだからすごい」というような話に熱中していました。

■そんなに衝撃的でしたか。
今の私たちからみたら、インターネットのすごいところは繋がっているところ、という意見もありますが、私が強く惹かれたのはHTMLを見て、これがデータベースだと思い至ったとき、インターネットのすごさはデータベースのすごさにあって、この業界でビジネスをする以上、データベースは避けて通れないなと。それ以外は、枝葉と考えるべきだなと思いました。

■「スパイラル」が扱うデータは個人情報ですよね。いろいろデータがある中で、なぜ個人情報に注目されたんですか。
今、最も、人が大切にしたいと考える情報だからです。どれだけデータベースが大切だといっても、その中に入っているデータの重要さは人間が判断します。誰だって自分の名前や住所、電話番号やクレジットカードの番号が他人に知られるということは避けたいですよね。だからこれらの管理を、安全に、低コストで実現できる仕組みが必要だと考えました。事業を開始した後に個人情報保護法が成立しましたし、その選択は間違っていなかったと思います。

■佐谷さんは今でもプログラミングの実務は、もうさすがにされていないですか。
いえいえ、今もちょっとやらせてもらってます。ライブラリの部分とか。

■社長なのにですか。
私は会社設立当時から開発メンバーでしたし、今でも出来上がったものをチェックしたりとか、作る仕事は楽しいんですよね。だから、私が関わる部分もちょっと残してもらっています。これは自分にしかできない!なんて言ったりして。(笑)

■今、パイプドビッツの開発チームは何人体制ですか。
10数人ですね。ミッションごとに数チームに分かれて分業しています。

やってみたい仕事は、今すぐ仕事でやってみる

■ひとつお聞きしたいんですが、学ばれていた建築と、ソフトウェア開発は何か共通点がありますか。
共通点は多いですよ。アプローチが似ています。建築というのは、周囲の万事、万物をまとめあげて空間をつくるという、いわゆる「総合」の学問なんですね。ソフトウェアもビジネスの現場では似たところがあります。もっとも、同じ建築でも、材料学のような分野では、鉄とかコンクリートに代わるような新しい材料を発見するために「分析」するようなアプローチもあります。私の専攻していた都市計画は「総合」の学問ですから、いろいろな事象をまとめて、こういう場合はこういう施策が最も適しているということを考え、アウトプットとして計画を作っていきます。
そういった、「総合」するプロセスは、大学でかなりトレーニングしてきた気がします。

■トレーニングというのは、具体的にはどのようなものですか。
例えば建築の卒業設計の課題では、締め切りとA1の用紙7枚以上にまとめるということしか決まりがありませんでした。アウトプットのボリュームも下限だけがあって上限はないわけです。研究するテーマも、アプローチも、ゴールイメージも自分自身で設定していく必要があります。前提条件のほとんどない状態から、答えを出せというトレーニングです。

■制約のない中で、何かしらを考え、答えを出すトレーニングですか。
世の中の事象の中には、正しい答えなんてないものばかりです。自分で答えを作る、答えを設計する、それからこの辺でいいかなというゴールイメージも自分で設定するわけです。締め切りが来た時点での到達点が評価される世界です。力があってもなくても、締め切りの時に出した答えが評価されます。どれだけ努力したかどうかは評価の対象になりません。

■総合的に考えることができるということは、仕事ができるということにつながりますか。
どうでしょうか?仕事ができるという状態にもいろいろありますよね。好きでやっている人は、労を惜しまないから強いです。どちらかというと、一生懸命やっているうちに好きになっていくというケースの方が多いのではないでしょうか。いずれにせよ、最初からお金のことばかり考えてやるようになったら、労を惜しまずに取り組むのが難しくなっていくように思います。今やっている自分の仕事や、自分のスキルを、お金に換算したらいくらくらいかな、なんてことばかり考えないほうがいいですね。仕事は基本的に楽しいものですから、楽しむことを考えたほうがいい。

■お金のことを考えてはいけませんか。
悪いとは言いませんが、仕事に没頭することの障害になってしまう気がしますね。やはり夢中になっている人が強いですよね。お金は後からついてくると考える人の方が、結果的により大きな成功を手にしていることの方が多いような気がします。

■ そういう人と一緒に働きたいですか。
どんな仕事も一生懸命取り組む人と働きたいですね。そういう人は伸びますから。見ていて気持ち良いです。

■プログラミングも見よう見真似で習得したということでしたが、その勉強方法に関するアドバイスをください。
私がキャンペーンの効果測定ツールをつくったときにJavaでのソフトウェア開発にチャレンジしましたが、このときJavaは未経験ですし、よく解っていませんでした。でも周囲で、サーバサイドJavaがすごく話題になっていて、とにかくやってみたかったんですね。やってみたいと思ったら、それを仕事でやってみるということですね。

■ 知らないのに仕事でやってみるんですか。
次のプロジェクトで使ってみたいから前もって勉強するなんてことはしません。今興味があることは、今実際に使ってみないと。次のプロジェクトを待っていたら、結局は実現に至らないまま終わるかもしれません。どんどん挑戦していかなければ、仕事をしながら新たな技能を修得するのは難しいんじゃないかなと思います。

■習得するまで待っていたら機を逃すということでしょうか。
ソフトウェアの基礎がわかっていれば、どのくらいのチャレンジなのか大まかに把握できると思います。いつも「次回は」って言っている人には、次はこないですよ。今やるべきこと、今ある仕事を教材にすればいいです。

■でも、準備もしていないんですよね。
準備期間はとりません。その代わり、任せてもらうためには確たる自信がなくても、リスクをとって「できる」って言わなければなりません。これを言って、実際にやりきった人が伸びるんですよ。リスクを取らないとチャレンジになりません。そしてチャレンジしないと成長しません。成長しないと面白くありません。

■佐谷さんは、そうやってさまざまな壁を乗り越えてきたんですね。
学生時代からそうでした。大学院に入った1995年に私はバイトして貯めた40万円を使ってパソコンを購入したんですが、1ヶ月もしないうちに飽きちゃったんですよ。

■え、そんなに早くですか。
当時のパソコンってインターネットもつながっていないし、できることも少なかったですからね。そこでパソコンを大学に持ち込んで、大学の研究を自分のパソコンを使ってやることにしました。当時大学内ではインターネットが使えたので、それを利用できないかなと考えたわけです。

■でも大学のネットワークには、大学のパソコン端末しかつながっていませんよね。
はじめは、こっそりLANケーブルを自分のパソコンにつなげていたんですが(笑)、そのうち見つかってつなげなくなりました。でもとにかくつなぎたかったので、いろいろ調べました。その結果、Linuxでサーバを立てれば、今でいうNATルーター代わりにして自分のパソコンが接続できるということがわかりました。すぐに研究室の先生に提案に行きました。

■できないことをできるという提案ですか。
「私に学校のパソコンを一台貸していただければ、こういうやり方でこういうネットワークができます。これからは、学生1人が1台のパソコンを使う時代です。学生がメールアドレスを持つこともできます。そうなればうちの大学としては最先端だし、学生みんなが自分の名刺にメールアドレスを印刷していてかっこいいですよ!」というような提案だったと思います。

■学生時代からプレゼンのテクニックをお持ちだったんですね。
いや、それからが死に物狂いですよ。眠っていたパソコンを1台借りたは良いものの、安易には構築できなくて、苦労しました。でも、言い切ったからには、死に物狂いで習得するものです。

次回11月26日up予定
第12回(4)「ソフトウェアを取り巻く環境は、農業より遅れている」

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投稿日時 : 2007.11.19 09:01

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