TOP > スペシャルコンテンツ > CTOインタビュー > ガイアックスCTO鳥居氏 > 第2回(2) ガイアックスCTO鳥居氏 「いろいろな立ち位置を経験して技術者として考えたこと」
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2006.10.18
今回は、今まで経験した技術者としてのいくつかの立ち位置と、どのようなことを考えて職業を選んできたかということを、引き続き、株式会社ガイアックス 執行役 CTO 鳥居 晋太郎氏にお話お伺いします。

インターネットに衝撃をうけて業界に飛び込む
技術者という職種は一貫されてますが、目指されたのは子供の頃からですか。
鳥居氏:小学校4年生頃からパソコンを触り始めましたが、その頃から将来プログラマになるのが自分の夢でした。
プログラマはパソコンをいじる程度のイメージですか。
鳥居氏:あ、その程度ですよ。小学生の頃は書籍に出てくるような簡単なプログラムや、ゲームを作ったりしていました。中学生の頃は一旦興味が薄れていましたが、高校生になって、Windows95マシンを手に入れた際にインターネットのサービスに触れて衝撃を受けました。
高校生のときに受けた衝撃というのは具体的に言うとどういう点でしょう。
鳥居氏:やはり、世界中の人と簡単にコミュニケーションがとれるという点です。当時海外の情報を手に入れるためには、書店に行って高い書籍や雑誌を購入しないといけなかったのですが、インターネットがあれば海外のニュースサイトや技術文献に触れられる。感覚的には、自分の頭脳が世界の情報とつながっているような感じで本当に衝撃でした。
それで大学生の時にガイアックスさんでお仕事されるわけですね。ツテはあったんですか。
鳥居氏:いや、全くなくて、飛び込みです(笑)当時のネットベンチャーが展開していたいくつかのサービスを試してたのですが、ガイアックスが運営していた無料ホームページサービスを使ってみて、「このようなコミュニケーションサービスは絶対に普及する」と感じ、そういったサービスの発展に関わることができたらおもしろいなと考えてインターンとして応募しました。
サービスの開発者として考えていたこと
そのころはどういったことをお考えだったんでしょうか。
鳥居氏:開発者としてこの業界に飛び込んだ頃は、やはり面白いサービスとか、多くのユーザに使われるサービスを作り上げたいということにしか興味がありませんでした。そういう意味では、当時自分はサービス思考なプログラマだったと思います。
当時のインターネット業界はどんな状況だったんでしょうか。
鳥居氏:当時、ネットワーク等のインフラはある程度整いつつある段階でした。ナローバンドではありましたが、常時接続環境も少しずつ増え始めて、Linux等のオープンソーステクノロジーも一般に普及してきていました。一方でその上でどういったWebサービスを展開し、ビジネスモデルとして成功させるかまだまだ各プレイヤーが試行錯誤していた時期でした。
ガイアックスは、今でいうCGM(Consumer Generated Media)のような無料ホームページのサービスを展開していていて、そういったサービスをツールとしてユーザに無料で提供し、そこで集まったデータを利用して、広告配信ビジネスやデータマーケティングビジネスを展開していました。
インフラではなくサービス、ソフトウェアを選ばれた理由は何かあるんですか。
鳥居氏:インフラのビジネスは、資本力に大きく制約を受ける業界だと考えていました。当時小さな資本しか持ち合わせていない一ベンチャーにとっては、純粋にソフトウェアを活用したサービスを展開する方が既存のプレーヤーと戦いやすかったというのが最大の目的です。個人的に小学生のころからプログラマになりたいと感じていた背景も、一度プログラムを作ればコストをかけずにサービスをスピーディに多くの人へ展開できるという構造が魅力的だったからです。そして、インターネットがでてきて端末同士がネットワークにつながるようになって、さらにサービスやソフトウェアの流通コストは劇的に下がりました。いいアイディアを実装すれば、多くの人に価値あるものだと認めてもらえて利用してもらうことができる。そのようにオープンな環境で仕事をしたいと思ったからこそこの業界を選んだのだと思います。
サービスを作り上げる中でたまらないと感じる瞬間とはどういうときでしょう。
鳥居氏:やはりサービスをリリースして多くのユーザに利用して頂いている時ですね。以前約5万人の観客が集まったコンサート行った際に感じたのですが、数えきれないぐらいの人が目の前にいても実は自分の運用しているサービスのユーザ数はその数倍以上だと思うと本当に多くの方に利用頂いているのだなと思い改めて開発のやりがいを感じました。技術者冥利に尽きる部分です。
技術を突き詰める研究者として考えていたこと
次に、大学に戻られて、研究者としての技術者を経験されるわけですね。
鳥居氏:サービスを作るため技術の使い方を一通り覚えてしまうと、次第にじっくり技術の知識を広げることや、深みを増すということも重要だと思うようになりました。一方で会社のあり方を考えたとき、技術を深く追求することより、ビジネスやサービスの開発のスピードを優先すべき局面も多くありました。しかし自分としては技術の追求にじっくり時間を取りたかったので、一旦ビジネスの世界からは退いて、研究に専念することにしました。
研究者としての立ち位置からみたおもしろみっていうのはどういった点ですか。
鳥居氏:不思議なことにビジネス的にどうかということは全く忘れて、しくみ自体にただ単純に好奇心が沸くんですね。なぜこれはこうなってるんだろう、突き詰めるとどうなってしまうのだろう、ということを単に考える。興味を持った部分をより深く掘り下げて、文献を読んだり、調べたりして突き詰める。一見無駄なことも多いのですがそういう好奇心がエンジニアにとって最も重要な要素であることに気付くことができました。今でも技術者の採用の際には、まずは知的好奇心の旺盛さを面接で確認しています。
サービスを作る技術者と研究をする技術者は立ち位置が違うだけでやることは同じですか。
鳥居氏:立場が違うとやることも違いますね。サービスを作る技術者は、最終的に使い手にとって面白いものを作るかということが重要で、そのため作り方も最適化してより早い作り方になります。一方で、研究をする技術者は技術の深みを追究するので、見え方としての面白さよりも内部の仕組みが完成した汎用的な理論に基づいているかどうかという観点のほうが重要で、物事の進め方もそういった進め方になります。
両方経験されてみていかがでしょう。
鳥居氏:どちらがいいとは一概に言い切れないですね。ただ、両方ともトレードオフの関係になることが多いため、技術者ひとりに両方の役割を求めることは酷だなということは分かりました。今ではどちらか本人に合っている仕事に専念させることで、個人の能力を最大限に引き出し組織全体で知識を増やすことができると考えています。
大規模システムのプロジェクト管理者として考えていたこと
その後行かれる商社も意外な選択に見えますね。
鳥居氏:次はビジネスや経営を学びたいと思いました。いろいろな仕事にトライアルしたことで、ちょうどこのころ、漠然としていた職業に対する考えが“経営と技術”というキーワードにピントがあってきました。
もともと経営に興味があったということでしょうか。
鳥居氏:家業が経営をしている影響もあるのでしょうね。また、学生の時にビルゲイツやスティーブジョブスのような人の存在を知ったのも大きなきっかけになっています。世の中の課題に対して、技術を活用して解決していく、非常にシンプルなのですが、そういった経営スタイルに憧れました。
どういう観点で就職活動されたのですか。
鳥居氏:経営やビジネスのスキルを身につけながら、今までに経験していないような仕事ができるところは、どこだろうと考えました。最終的に商社に決めたのは、これからは海外とのビジネスも増えるだろうと思っていたので、国際的なビジネススキルを身につけたかったという点も大きいですね。
商社での基幹システム導入プロジェクトはいかがでしたか。
鳥居氏:カルチャーショックでした。まず何に驚いたかというと、開発の現場に居ても新しい技術に関する情報があまり入ってこないことです。というのもこの世界では安定性が重視されますので、枯れた技術が好まれて使われるためです。一方で要件定義の深さやドキュメンテーションのレベルは非常に高く、数百人がプロジェクトに参加していても破綻しないプロジェクトマネジメントの手法を学ぶことができたのは大きかったです。マネジメントの経験はむしろこういった仕事を通じて身につけることができたと思っています。
そしてガイアックスのCTOとして考えていること
そして退職されてガイアックスのCTOに至るんですね。
鳥居氏:次のステップとして自分で会社を興すか、後1年程商社で他のプロジェクトに携わるかなどを悩んでいた頃、ちょうどガイアックスのCTOとして声が掛かり、再び一緒に仕事をすることになりました。
選んだ大きな理由ななんでしょう。
鳥居氏:まず大きいのは、Web2.0といったワードが出てき始めてエッジの効いたサービスが市場からも注目されるようになってきているという市場環境の変化があったことです。そういった流動的な市場環境でこそ、今までサービスを開発する者として、また研究者として、そしてプロジェクトマネージャーとして、幅広く学んできたことを活かす場所があると思いました。
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■次回は10月25日
■「インターネット業界はどう変わっていくか」をお送りします。
投稿日時 : 2006.10.18 19:05
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