「明号」って何だ?
2007.05.23
さて、半分はまだジョークの世界です。
「暗号」の対義語として「明らかな符号」であるところの「明号」という概念がある(と断言するほどはっきりしたものではないです)ような気がしませんか? ネットで検索すると、今のところ次のような使い方で「明号」がひっかかります。
1. 暗号ロジックが未熟なために、簡単に解読される暗号を揶揄して「明号」と呼ぶ。皮肉ですね。
2. 公開鍵暗号のように、「鍵を明るい場所に出す」暗号を、それまでの秘匿鍵暗号と対比させて「明号」と呼ぶ。まあ、公開鍵暗号でも秘密鍵は依然としてあるわけですけどね。
3. 暗号技術が軍事とか外交のような特殊場面に使われるものではなくて、今のようにコンピュータの基礎技術になった状況変化を受けて、秘密な技術で「後ろ暗い暗号」ではなくて、みんなで公開の討議の対象となるような暗号を「明るい暗号」と捉えよう、という考え方。これはどっちか言えば気分の問題ですね(苦笑)。真面目に「明るい明号、楽しいセキュリティ」をスローガンに掲げる人もいます。
さて私としてはこれが真打なのですが..
4. 「暗号」が特に鍵を知っている人以外は全然解読できないものであるのに対して、「明号」はどのような知的存在であっても間違いなく解読できるもの。この「知的存在」は人間じゃない、ということを前提にしています。言い換えると「宇宙に向けて電波信号を発信したり、無人宇宙船に載せて宇宙人と遭遇したときに、『地球の人類はこういう存在だ』というのをどうやって宇宙人に伝えるのか?」という問題の中から、「明号」という概念が出てきたもののようです。
少し前に「非対称の起源」という本を読みました。この本は「右と左」という概念についていろいろなジャンルを横断して考察している面白い本ですが、この中で「宇宙人に対して、どうやって『右と左』という概念を伝えることができるのか?」という問題について検討しています。宇宙空間には上も下もありませんし、宇宙人が住んでいる惑星が地球と同じ向きで公転している保証もありません。また、宇宙人の左側の胸に心臓がある、なんて保証もないわけです。どうすれば右・左を伝えることができるのでしょう?(これは長くなるので本の方をお読みください)
ですから「左右」のような基本空間概念であっても、それを「明号」で表現しようとすると実に難しいわけです。とはいえこの「明号」の実装は、とりあえず「数」の概念の記述から始まるようです。数学はどんな宇宙であっても一様であり、しかも語り手自身が「知的存在」であることを言外に伝達できます。
そう考えてみると、プログラミングというものは本質的に数学に基盤を置いています。ですからソートは宇宙のどこに持っていっても、並べ替えをするわけですね。勿論アルファベットはASCIIに束縛される必要はなくて、単に「区切り文字ではない」ものというだけの意味で捉えれば、「私が書いたプログラム」を「宇宙人が読んで理解できるか??」という視点で、見直してみるというのも面白いかもしれません。(良い)プログラムは明号かも?
投稿者 : 杉浦 こずえ | 投稿日時 : 2007.05.23 09:28
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