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GoogleのYoutube買収事案分析

2006.10.10


GoogleがYoutubeを買収した。その額16.5億ドル。日本円で約2,000億円。ちょうどミクシィが上場時につけた時価総額とほぼ同等の金額だ。この金額が安いか高いかはここではあまり問題ではない。まあそこそこ、というところだろう。

今回の一件の論点は、梅田望夫さんが早速エントリーされている「Googleが技術判断よりも経営判断を優先する会社になったのか」という点と、既に強者であるGoogleが今回の件で動画共有サービスの覇者となったわけだが、これを受けた「今後の著作権者の反応とGoogleの対応は?」という点、そして「で、どうやってもうけるのよ?」という点だ。

一つ目については、”Google教日本支部の祖”ともいえる梅田氏が珍しく拙速なほどにGoogleアゲに走っていらっしゃるところから裏読みできる通り、これまでGoogleをエンジニアピラミッドの頂点として崇拝してきた多くの技術者たちに対して「Googleはフツウの会社になりました」の宣言がなされたものとして捉えてよいと思う。ここ数ヶ月の、「Writelyの買収」「Google Spreadsheetが思いのほかろくでもない」とか「動詞としてGoogle使うな」とかいったGoogleらしからぬ挙動には、これまでのGoogleとは異なる意思決定構造が機能していたように見受けられていた。今回の一件でそれが明白になった、ということだろう。「Googleは自分たちが”技術的に”よりよいものを作れるならば買収などしない」という思想は崩れ、技術至上よりも経営=カオスの中の都度判断の意思決定が行われる。Googleはもうフツウの大企業である。「世界政府があったならばそこで為されるべきことすべてをGoogleが為す」という思想がダークサイドに落ちる可能性もまた広がったということでもある。

二つ目については、一点目の結論(仮説だが)がプラスに働いてくれるのではないか。シュミットCEOをフロントに立てて、技術面では著作権スクリーニングを徐々に導入し、マーケティング面では既にYoutubeがユニバーサルやソニーとの契約で緒をつけていたオンラインでのプロモーションフィールドとしての活用を進める。そして、オンライン向けの著作権のグレーゾーンはまた一歩ネット側に有利な方向へ歩を進めることになる。

三つ目については、著作権スクリーニングのできた映像への映像広告配信は早期に行われることになるだろう。会見でもブリンが述べている通り、既に協調フィルタリングベース(と思われる)のリコメンデーションエンジンが実装されているYoutubeにGoogleのビデオ広告をあてがうことは容易なことであろう。二つ目についてのオペレーションを誤らなければ、既に1億ストリーム/日となっているYoutubeを収益化させることはそう遠い未来ではないと予測される。


今回の一件はGoogleのインターネット社会での覇権を進める大きな一歩になったと言える。ネット社会が根底で抱え続ける著作権という課題を一歩解消に向かわせ、ネット界の巨人としての中期的な収益基盤を得た、ということで、Googleにもネット社会にもプラスに働く事案と言えるだろう。

その反面、Googleが、GMもIBMもMSも味わっている企業としてのライフサイクルの波、盛者必衰の歴史の中に大きく足を踏み入れたことを印象付けたという点でも記憶に残ることになる。

投稿者 : 上原 仁 | 投稿日時 : 2006.10.10 18:48

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